NECは2017年7月11日、カメラ映像から特定人物の顔を検出する「顔認証システム」をイギリスのサウスウェールズ警察に提供したと発表した。世界最高の検出精度を誇る顔認証技術を投入したソフトウェア「NeoFace Watch」と、そのソフトウェアを動作させるPCや、映像を捉えるカメラなどをセットで提供した。サウスウェールズ警察はそのシステムを専用の警察車両に搭載して運用を始めている。
図 顔認証システムを搭載したサウスウェールズ警察の専用車両
出所 NEC
NeoFace Watchは、深層学習を応用して検出精度を高めたソフトウェア。学習モデルの設計、構築だけでなく、モデルの学習もNECが完了させて、すぐに利用できる形で提供する。NECはモデルの学習に自社で保有している無数の顔写真データを活用し、業界最高レベルまで検出精度を高めている。低い解像度の画像でも高い検出精度を誇る。また、検出対象がサングラスなどで顔の一部を隠していても、高い確率で検知するという。
NECはNeoFace Watchを「学習済み」の状態で提供するので、実行するPCにはGPU(Graphics Processing Unit)などの特別なハードウェアを搭載する必要はない。一般的なプロセッサを搭載したPCでも、リアルタイムで捜索対象を検出できるという。サウスウェールズ警察は事件の容疑者や要注意人物、行方不明者などおよそ50万枚の画像を捜索対象としてNeoFace Watchに登録して運用している。
そして、NECによると提供した顔認証システムがすでに容疑者逮捕につながる実績を上げたという。6月3日、カーディフにあるミレニアムスタジアムでサッカーのUEFAチャンピオンズリーグ決勝戦が開催されたが、その開催週に専用車両で警備をしていたところ、顔認証システムが事件の容疑者を検出し、逮捕につながったという。サウスウェールズ警察は今後も空港や競技場など、大量の人が行き来する場所の安全確保に顔認証システムを活用していくという。
NECは顔認証システムを、イギリスに限らず世界中で拡販していく方針を示している。
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