アメリカLightning Systemsは2018年3月6日(アメリカ山岳部標準時間)、Ford Motorの大型バン「Ford Transit」を電気自動車(EV)に改造するキットを3月中に発売すると発表した。さらに、オプションとして燃料電池を今秋に発売することも明らかにした。Ford Transitは、排気量3.7リットルあるいは3.5リットルのV型6気筒エンジンを搭載し、標準で10人乗り、最大で15人乗りの大型バン。車両後部をすべて荷物用スペースにした業務用車両もある。
図 Lightning Systemsの改造キットでEVに改造した「Ford Transit」
出所 Lightning Systems
改造キットは、Ford Motorの「eQVM(Advanced Fuel Qualified Vehicle Modifier) Program」を通して提供する。eQVM Programは、Ford Motorが2017年3月に発表した制度で、同社の車両をエンジン駆動から、ハイブリッド、あるいはEVに転換するプログラム。転換後も、シャーシ部分に限ってFord Motorsの保証が付帯する。転換した部分の保証は、Lightning Systemsが提供する。改造は、Ford Motorsのディーラー、もしくはeQVM Program公認の工場が担当する。
改造キットは2種類。満充電状態からの走行距離が約50マイル(約80km)のものと、約100マイル(約161km)のものだ。50マイル走行するキットなら、標準の充電機能で6時間で充電でき、直流の高速充電器(50kW)を利用すると30分以内で充電できるという。100マイルのキットなら、それぞれ2倍の時間がかかる。どちらも最高速度は時速55マイル(約89km/h)となる。改造キットの対象車種は、総重量1万360ポンド(約4700kg)までの車種。積載重量も4000ポンド(約1800kg)までとなる。
秋に登場予定の燃料電池は、EV化した車両に追加で搭載して走行距離を伸ばす「レンジエクステンダー」として提供する。出力は30kW。これを搭載すると、走行距離が200マイル(約322km)まで伸び、最高速度も時速75マイル(約121km/h)に上がるとしている。
Lightning Systemsは、2008年にコロラド州立大学の卒業生が中心になって設立したベンチャー企業(前社名はLightning Hybrids)。コロラド州ラブランド市に本社を置き、これまでに企業は政府、自治体の車両をハイブリッド車に改造した実績を持っている。