【創刊6周年記念】 発送電分離直前! 次世代の電力システムはどうあるべきか

2020年に向けた今後の課題と展開

― 低炭素社会へ向けてV2Gアグリゲーター事業を新設 ―

2020年に向けた今後の課題と展開

〔1〕VPPは実証事業からビジネス化へ

 ここまで、VPP構築実証事業の進展状況を見てきたが、現在、実証事業からビジネス化へ向けた取り組みへと比重が移りつつある。

 VPPのリソースの1つであるデマンドレスポンス(DR)は、調整力公募において、まだ規模は小さいものの具体的な調達も行われ、実績も出てきた。また、IoT技術の進展によって、DRの応動時間の短縮化の可能性も見えてきた。

〔2〕電力システム改革に向けて期待が高まる

 しかし、現実により早い応動(15分以内、5分以内など)でできる調整力として調達されるには、エネルギーリソースが、応動時間内に確実に調整力を提供できることの検証が必要である。また、VPPにおけるサイバーセキュリティ対策の確立という課題もある。

 2020年度までの実証事業の期間内に、どこまで迫ることができるか。2020年の発送電分離という電力システム改革の流れの中で、再エネの主力電源化やVPPへの期待が高まっている。

 最後に、表10に本稿に登場する用語および関連キーワードをまとめて紹介する。

表10 VPPに関する関連用語の解説

表10 VPPに関する関連用語の解説

出所 下記URLなどの資料をもとに編集部で作成。
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/advanced_systems/vpp_dr/term.html

◎取材協力(敬称略)

西村 陽(にしむら きよし)

西村 陽(にしむら きよし)

現職:関西電力株式会社 営業本部 担当部長

1961年 富山県生まれ。1984年 一橋大学経済学部卒業。関西電力で戦略、電力市場改革を担当。公益事業学会理事・政策研究会幹事、国際公共政策学会理事。1999〜2001年 学習院大学特別客員教授。2006〜2008年 大阪大学ビジネスエンジニアリング専攻招聘教授。2013年 資源エネルギー庁ネガワットWG委員、2016年 ERAB検討会委員、制御量WG参加。2018年 次世代技術を活用した新たな電力プラットホームの在り方研究会委員。現在、早稲田大学先進グリッド研究所と兼職。
主な著書(共著含む):『電力改革の構図と戦略』(エネルギーフォーラム、2000年)、『検証エンロン破綻』(日本電気協会新聞部、2002年、共著)、『電力システム改革の検証』(白桃書房、2015年)、『電力ガス改革とエネルギー政策の新展開』(晃洋書房、2017年)、『まるわかり電力デジタル革命キーワード250』『まるわかり電力システム改革2020改革版キーワード400(日本電気協会新聞部、2018年)他。

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