水素混焼に対応した吸収式冷温水機を共同開発
パナソニック株式会社 空質空調社(以下、パナソニック)、大阪ガス株式会社(以下、大阪ガス)、大阪ガスの子会社であるDaigasエナジー株式会社(以下、Daigasエナジー)の3社は、水素と都市ガスの混焼に対応した吸収式冷温水機を共同で開発した(図1)。業界初の技術だという。既設設備を部品交換するだけで構築でき、水素の混焼率は0%から100%まで対応する。2025年8月7日に発表した。
図1 パナソニック、大阪ガス、Daigasエナジーが開発した水素混焼に対応する吸収式冷温水機の構成イメージ
出所 パナソニック株式会社 プレスリリース 2025年8月7日、「業界初、パナソニックと大阪ガス・Daigasエナジーが水素および都市ガス混焼対応の吸収式冷温水機を開発」
既存設備を部品交換するだけで水素対応機にリニューアル
吸収式冷温水機は、冷暖房に水の気化熱を利用する空調システムであり、フロンを使用しないために環境負荷が低いとされている。今回3社が開発した吸収式冷温水機は、水素と都市ガスの混焼比率や空調負荷の変動に応じて、燃焼用空気の流量を制御する新技術により、水素混合比率0%(都市ガス専焼)から100%(水素専焼)までの安定した吸収式冷温水機の運転を可能にする。
また、水素は都市ガスと比べて燃焼速度が速く、火炎温度が高いという特性により、燃焼時に大気汚染物質であるNOx(窒素酸化物)を多く発生する。そこで、水素燃焼時の火炎温度を低減させる特殊なバーナを組み合わせることで、排気ガス中のNOx濃度を、環境規制値を下回る40ppm未満に抑制する。これらにより、高い環境性能とエネルギー効率を両立しているという。
図2 水素燃焼時の火炎温度を低減させる特殊なバーナで排気ガス中のNOx濃度を抑制する
出所 パナソニック株式会社 プレスリリース 2025年8月7日、「業界初、パナソニックと大阪ガス・Daigasエナジーが水素および都市ガス混焼対応の吸収式冷温水機を開発」
現在稼働している都市ガス仕様の吸収式冷温水機の本体を入れ替えることなく、バーナや燃料配管といった燃焼関連部品を交換するだけで水素対応機にリニューアルできる。既存設備を活用することで、設備投資を抑制するという。
パナソニックは、吸収式冷温水機の分野で50年以上の歴史があり、国内トップクラスのシェアを持っている。Daigasグループは、業務用ガス機器や工業炉向けのバーナ開発を手がけ、燃料を効率的かつ安全に燃焼させる高度な技術と知見を蓄積している。両社のノウハウを活用し、本吸収式冷温水機を開発した。
今後、3社は今回開発した技術をもとに、商品化に向けた検証を進める。
参考サイト
パナソニック株式会社 プレスリリース 2025年8月7日、「業界初、パナソニックと大阪ガス・Daigasエナジーが水素および都市ガス混焼対応の吸収式冷温水機を開発」