東京都、SAF原料の廃食用油回収を加速へ! 吉川油脂、コスモ石油・日揮HDらを採択

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2026年6月30日 (火曜) 10:00

ゼロエミッション東京に向け、事業を第2フェーズへ移行

 東京都は、2050年までに世界のCO2(数字は下付き)排出実質ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京」の実現を目指し、持続可能な資源利用への転換を推進している。特に航空業界では、2050年カーボンニュートラル達成に向けて、SAF(サフ。Sustainable Aviation Fuel、持続可能な航空燃料)注1の導入が進む一方、その原料となるバイオマス等の調達が課題となっている。こうした背景から東京都は、家庭からの廃食用油をSAF原料として回収する「廃食用油回収促進に係る事業提案」を公募・採択してきた。令和5(2023)~令和7(2025)年度の3カ年におよぶ前回の協定(令和8年3月31日終了)に続く第2フェーズとして、同年4月9日~5月8日にかけて新たな公募を行った。

 その結果、以下の2つの提案を採択し、2026年6月5日に発表した注2(表1)。

(1)    株式会社吉川油脂(以下、吉川油脂)
(2)    コスモ石油株式会社(以下、コスモ石油)と日揮ホールディングス株式会社(以下、日揮HD)、株式会社レボインターナショナル(以下、レボインターナショナル)の3社共同提案

 実施期間は基本協定締結日から令和11(2029)年3月31日まで。東京都は今後、採択した2グループと共同で事業を展開する。

表1 東京都と採択した2つの事業提案の概要

出所 以下の情報をもとに編集部作成

【吉川油脂】専用ボトルを活用し、地域に根差した「ついでリサイクル」を推進

 吉川油脂は、これまでに培ったリサイクル技術と地域ネットワークを活かし、生活動線に密着した実効性の高い回収インフラの都内構築を目指す注3

 具体的には、スーパーマーケットやマンション管理会社など多彩な企業と連携。住民が日常生活のなかで無理なく拠出できる、地域に根差した「ついでリサイクル」を推進する。

 また、プラスチックごみ削減のため、繰り返し洗浄して再利用できる専用の「リターナブルボトル」注4を導入し、回収プロセスにおける環境負荷を最小限に抑えるのも特徴だ。回収した廃食用油は、「ISCC CORSIA」(アイエスシーシー・コルシア)注5などの国際認証基準に則って適正に管理・処理され、国内外でのSAF製造へとつなげられる。

【コスモ石油ら3社】国産SAFの利用拡大と国内の資源循環による脱炭素化へ

 コスモ石油、日揮HD、レボインターナショナルの3社は、第1フェーズ(2023~2025年度)の事業にも採択されており、2025年4月には国内初となる国産SAFの供給を開始した。また、同年に開催された大阪・関西万博(2025年4月~10月)や世界陸上競技選手権大会(東京・国立競技場。2025年9月13日~9月21日)などを契機に、廃食用油のSAF利用を促進する情報発信を行ってきた注6

 今回採択された事業提案では、家庭系廃食用油のさらなる回収促進やSAFの利用拡大、および国内資源循環による脱炭素社会の実現を目指す注7(写真1)。

写真1 コスモ石油らによる事業イメージ

出所 コスモ石油株式会社 プレスリリース 2026年6月22日、「東京都が公募する廃食用油回収促進に係る事業提案に採択」

 3社は、協定期間である令和11(2029)年3月31日までの約3年間で、次の4つの取り組みを展開する。

①自治体・企業と連携した家庭系廃食用油の回収と国産SAF製造への利用
②SAFおよび廃食用油回収の周知イベントの実施
③SAF製造に関する取り組みの国内外への発信
④廃食用油の回収からSAF製造・利用に至る環境学習の実施

 なお、本事業における各社の役割分担は以下の通り。

・コスモ石油: 回収した廃食用油の品質確認、サービスステーションの回収拠点化の検討、SAFの製造・供給
・日揮HD: 取り組み全体の主導、協力自治体や企業の探索、キャンペーン内容の企画
・レボインターナショナル: 廃食用油の収集、市民回収ノウハウの提供


注1:SAF:廃食用油や植物、サトウキビ、古紙などを原料に製造するジェット燃料。
注2東京都、「廃食用油回収促進に係る事業提案(公募事業)」
注3株式会社吉川油脂 お知らせ 2026年6月4日、「東京都『廃食用油回収促進に係る事業提案』に採択されました」
注4:リターナブルボトル:Returnable Bottle。使い終わった後に回収し、繰り返し使用するための容器。
注5:ISCC CORSIA:国際民間航空機関(ICAO。イカオまたはアイカオと読む)の航空業界向け温室効果ガス排出削減・相殺制度(CORSIA)の要件を満たす、SAFやバイオマスの持続可能性およびトレーサビリティを証明する国際的な認証制度。
ICAO:International Civil Aviation Organization
ISCC:International Sustainability and Carbon Certification、国際持続可能カーボン認証CORSIA:Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation
注6コスモ石油株式会社 プレスリリース 2023年8月3日、「東京都の廃食用油回収促進に係る事業に日本初の国産SAF大規模製造に向けた共同提案が採択」
注7コスモ石油株式会社 プレスリリース 2026年6月22日、「東京都が公募する廃食用油回収促進に係る事業提案に採択」

参考サイト

東京都、「廃食用油回収促進に係る事業提案(公募事業)」

株式会社吉川油脂 お知らせ 2026年6月4日、「東京都『廃食用油回収促進に係る事業提案』に採択されました」

コスモ石油株式会社 プレスリリース 2026年6月22日、「東京都が公募する廃食用油回収促進に係る事業提案に採択」

東京都、2026年4月9日、廃食用油の回収促進「令和7年度までに実施した事業」

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