田中貴金属工業、国内最大級500kWの純水素燃料電池設備を稼働:湘南工場の電力34%をカバー
2026年7月13日 (月曜) 19:47
「TANAKA H2 Nexus」が湘南で稼働開始、工場の脱炭素を牽引
田中貴金属の産業用貴金属事業を展開する田中貴金属工業株式会社(以下、田中貴金属工業)は、純水素(H₂)燃料電池注1設備「TANAKA H2 Nexus」(タナカ エイチツー ネクサス)を、同社の湘南燃料電池発電所(神奈川県平塚市)に導入し、2026年7月8日に稼働を開始した。
同設備は、発電出力が500kWと国内最大級であり、最大稼働時には近隣の同社湘南工場で使用する電力の34%程度(田中貴金属試算)を賄うことが可能となる。将来的に、田中貴金属工業は同設備を活用し、CO₂(二酸化炭素)排出量の削減と安定したエネルギー供給の両立を目指す。
写真1 田中貴金属工業の「TANAKA H2 Nexus」の外観
出所 田中貴金属 プレスリリース 2026年7月9日、「田中貴金属、国内最大級500kW燃料電池発電設備『TANAKA H2 Nexus』を稼働開始」
総合効率95%を達成、負荷追従スピードが従来比5倍に
今回稼働した純水素燃料電池設備は、総合効率が95%、設計耐久性が約8万時間で、港湾部などの塩害地域にも設置可能な重耐塩仕様になっている。ブラックアウト(大規模停電)下でも稼働できる自立運転機能に加え、負荷追従発電の追従スピードが従来比で5倍のEMS(Energy Management System、エネルギー管理システム)を搭載している(表1)。
表1 純水素燃料電池設備「TANAKA H2 Nexus」の概要
EMS:Energy Management System、エネルギー管理システム。建物や工場で使用するエネル›ギーの使用状況を可視化し、運用を最適化するシステム。
LHV:Lower Heating Value、低位発熱量基準。燃料が燃焼した時に発生するエネルギー(発熱量)を表示する際の条件を示す基準。燃料の総発熱量から生成した水蒸気の潜熱を差し引いた熱量のこと。
出所 田中貴金属のプレスリリースをもとに一部加工して編集部作成
https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20260709.html
同設備の純水素燃料電池システムには、株式会社東芝(以下、東芝)製で出力100kWの「H2Rex」(エイチ・ツー・レックス)注2を採用し、5台を導入した(写真2)。
写真2 「H2Rex」(エイチ・ツー・レックス)の外観とその構成
出所 株式会社東芝Webサイト 「水素エネルギー 製品・技術サービス 水素をつかう」、「H2Rexの構成」より
触媒開発で培った技術を自社設備で実践し、水素社会へ貢献
田中貴金属グループは、1980年代から、貴金属加工技術を基盤に燃料電池と水素関連分野の研究開発を進めてきた。現在は、燃料電池用貴金属触媒で世界トップクラスの供給実績がある。また、水電解用触媒やガス改質触媒、貴金属めっき電極、水素透過膜などの水素関連技術を開発・製造している。
今回の設備導入によって、田中貴金属は、長年取り組んできた燃料電池関連技術の研究開発を発展させるとともに、水素エネルギー利用の知見を今後の技術開発や事業展開に活用する。
注1 純水素燃料電池:水素と空気中の酸素を化学反応させて電気をつくり出す電池。エネファーム(家庭用燃料電池)のように都市ガスなどから水素を取り出す工程がなく、発電時にCO₂を排出しない。
注2 H2Rex:東芝製の純水素燃料電池システム。独自技術によって、外部加湿装置を必要とせずに、セル(電池の最小単位)内部にある水のバランスを最適化する。これによって、セルを集積したセル・スタックの高耐久性、高安定性につなげる。
参考サイト
田中貴金属 プレスリリース 2026年7月9日、「田中貴金属、国内最大級500kW燃料電池発電設備『TANAKA H2 Nexus』を稼働開始」
株式会社東芝Webサイト、 「水素エネルギー 製品・技術サービス 水素をつかう」、「H2Rexの構成」
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