脱炭素要請を受ける中小企業、7割超が「自社単独で対応」の実態:日商・東商調査

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2026年7月22日 (水曜) 11:41

中小企業の52.9%が脱炭素を推進、従業員規模が大きいほど高い実施率に

 日本商工会議所と東京商工会議所は、「2026年度中小企業の脱炭素に関する実態調査」の集計結果を2026年7月16日に発表した。同調査によると、中小企業の過半数が脱炭素に関する取り組みを実施している。また、企業の約1割が取引先などから要請を受けている一方で、要請を受けている企業の7割超が自社単独で対応している実態が明らかになった。

 2026年度の中小企業の脱炭素に関する実態調査では、47都道府県にある商工会議所の会員企業を対象に、2026年5月7日~同年5月29日にかけてWebアンケートを実施し、2,497社の回答を得た。

 同調査によると、「脱炭素に関する取り組みを実施している」と回答した企業は52.9%となり、過半数を占めた(図1上部)。規模別および業種別の主な傾向は以下の通り。

 (1)従業員規模別:従業員が51人以上の企業で脱炭素に関する取り組みを実施している割合が7割以上に達する一方、5人以下の企業では約3割にとどまっており、従業員規模が大きいほど取り組みが進んでいる(図1下部左)。
 (2)業種別:「石油卸売業・燃料小売業、電気・ガス・熱供給」および「製造業」では、取り組みを実施している割合が6割を超えており、他業種と比べて高い水準にある(図1下部右)。

図1 脱炭素に関する取り組みの実施状況(上部)、従業員規模別(下部左)、業種別(下部右)

出所 日本商工会議所と東京商工会議所 2026年7月16日、「『2026年度中小企業の脱炭素に関する実態調査』集計結果」

具体的取り組みは「省エネ設備」「GHG算出」「資源循環」が上位

 脱炭素に取り組む企業に対し、具体的な施策内容を尋ねたところ、上位から順に次のような結果となった(図2)。

(1)第1位:「省エネ型設備への更新・新規導入(高効率設備、低CO₂設備等)」(40.8%)
(2)第2位:「エネルギー使用量・温室効果ガス(GHG)排出量の把握・測定」(37.3%)
(3) 第3位:「資源循環に関する取り組み(廃棄物削減やリサイクルの推進等)」(35.4%)
(4)第4位:「運用改善による省エネの推進(省エネ診断の実施・エネルギー管理体制整備・改善活動等)」(20.7%)

図2 脱炭素に関する取り組みを実施している企業の内容

出所 日本商工会議所と東京商工会議所 2026年7月16日、「『2026年度中小企業の脱炭素に関する実態調査』集計結果」

 脱炭素に関する取り組みを実施している理由・目的を見ると、上位から順に次のような結果であった(図3)。

(1)第1位:「光熱費・燃料費の削減」(68.5%)
(2)第2位:「気候変動対策・環境負荷低減への貢献」(40.8%)
(3)第3位:「企業としての評価や知名度の維持・向上」(32.1%)

図3 脱炭素に取り組む理由・目的

出所 日本商工会議所と東京商工会議所 2026年7月16日、「『2026年度中小企業の脱炭素に関する実態調査』集計結果」

取引先からの脱炭素要請は14.2%、製造業やエネルギー関連で目立つ

 脱炭素に関する取り組みの動機や実施状況については、次のような傾向が見られた(図4)。

 (1)取引先からの要請の有無:取引先などから脱炭素の要請を「受けている」と回答した企業は14.2%であった(図4上部)。
 (2)要請を受けている業種の内訳:業種別では「製造業」「石油卸売業・燃料小売業、電気・ガス・熱供給」「建設業」が上位を占める(図4下部左)。
 (3)要請と取り組み状況の関係:要請を受けている企業のうち、90.9%が実際に脱炭素に取り組んでいることが明らかとなった(図4下部右)。

図4 「脱炭素の取り組みに関する要請」の状況(上部)と業種別割合(下部左)、要請を受けている企業の脱炭素取り組み割合(下部右)

出所 日本商工会議所と東京商工会議所 2026年7月16日、「『2026年度中小企業の脱炭素に関する実態調査』集計結果」

要請企業の42.8%が「脱炭素が実質的な取引条件」、72.4%が支援なしで自社対応

 取引先などから脱炭素に関する要請を受けている企業のうち42.8%と4割超が「脱炭素の取り組みが実質的な取引の条件になっている」と回答した。その内訳は次の通り。

(1)要請が「取引条件になっている」(13.8%)
(2)「対応が事実上求められている(対応しないと不利になる可能性がある)」(29.0%)

 さらに要請を受けている企業の中で、「支援を受けている」と回答した企業はわずか27.6%にとどまり、72.4%の中小企業は支援を受けずに自社のみで対応している実態が明らかとなった。

 支援の内容としては、「わかりやすい取り組みガイドラインの提供」(49.0%)や「技術・ノウハウの提供(省エネ手法、脱炭素の進め方等)」(45.9%)など、情報提供や人材育成に関するものが中心となっている(図5上段の赤枠)。一方で、資金面の支援(図5中団の青枠)を受けている企業は一部にとどまる(図5)。

図5 脱炭素に関する要請を受けている企業が受けている支援の内容

出所 日本商工会議所と東京商工会議所 2026年7月16日、「『2026年度中小企業の脱炭素に関する実態調査』集計結果」

 同調査で明らかになった中小企業の取り組み実態や課題は、今後の支援施策や政策提言を検討するうえで極めて重要な示唆を含んでいる。

 大企業からの要請や実質的な取引条件化が進む一方、資金やノウハウ面で自社対応に限界を感じている中小企業は少なくない。今後は、現場ニーズに即した実効性のある支援策の拡充とともに、企業規模に応じた無理のない脱炭素経営をいかに後押しできるかが、日本全体の脱炭素化を左右する鍵となる。


参考サイト

東京商工会議所 最新の調査結果 2026年7月16日、「『2026年度中小企業の脱炭素に関する実態調査』集計結果について」

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