特集 第3部 JPSCインタビュー 国産ペロブスカイト太陽電池「商用化」の幕開け!:「高い品質と安全性」で切り拓くJPSCの挑戦と未来
2026年8月17日 (月曜) 16:20
「ペロブスカイト太陽電池(PSC:Perovskite Solar Cell)を2040年までに20GW導入する」――。政府が「第7次エネルギー基本計画」注1で掲げた目標に向け、ペロブスカイト太陽電池の商用化をめぐる動きが加速している。2026年5月15日、開発で先行する5社が発起人となり、業界団体「一般社団法人 日本ペロブスカイト太陽電池普及促進協議会」(以下、JPSC)注2が設立された。その狙いは、国産ペロブスカイト太陽電池の商用化にあたり、高い品質と安全性を確保しながら、普及促進と国際競争力の強化を牽引することにある。JPSC代表理事の田中 良(たなか りょう)氏と、理事の瀬川 浩司(せがわ ひろし)氏に、設立の背景や活動内容、国際展開、そしてペロブスカイト太陽電池が切り拓く新市場の展望について伺った。
(聞き手:インプレスSmartGridニューズレター編集部。文中敬称略)

一般社団法人 日本ペロブスカイト太陽電池普及促進協議会 代表理事
田中 良(たなか りょう)氏
日本電信電話公社(現:NTT)電気通信研究所にて、燃料電池や太陽光発電などを研究。1995年からNTTの環境ビジネス本部長として太陽光発電の導入拡大に資する研究開発、以降、(株)NTTファシリティ、(株)NTTアノードエナジーにおいて再生可能エネルギーの導入拡大に関する業務を担当。2018年4月より東京大学 客員教授。
サプライチェーンの自給化と国際市場への展開
─編集部 JPSC設立おめでとうございます。まず、協議会を設立した背景と目的をお聞かせください。
JPSC ペロブスカイト太陽電池は、ついに商用化の道が見えてきました。そこで、モジュールの開発で先行する株式会社アイシン(以下、アイシン)、株式会社エネコートテクノロジーズ(以下、エネコートテクノロジーズ)、積水ソーラーフィルム株式会社(以下、積水ソーラーフィルム)、パナソニック ホールディングス株式会社(以下、パナソニック ホールディングス)、株式会社リコー(以下、リコー)の5社が発起人となり、2026年5月15日付けで登記し、同日にJPSCを発足しました(表1)。
設立目的の1つに、サプライチェーン注3の構築があります。その理由は、既存のシリコン太陽電池は、電池のサイズ(出力の大きさ、形状等)が異なっても、基本的な構造は同じ〔図1(1)〕なのですが、ペロブスカイト太陽電池は製品ごとに、ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造をもつ発電層の材質(ヨウ素、鉛、メチルアミン等)や積層構造などが大きく変わるのです〔図1(2)〕。このため、ペロブスカイト太陽電池は多種多様な製品仕様に合わせて、新たなサプライチェーンを整備する必要があるのです。
表1 一般社団法人 日本ペロブスカイト太陽電池普及促進協議会(JPSC)の概要(敬称略)
図1 シリコン太陽電池とペロブスカイト太陽電池の構造の違い
─編集部 表1に示されたJPSCの活動内容は多岐にわたりますが、初期フェーズではどこに注力されるのでしょうか。
JPSC まずは「製品規格の登録」に関する業務から着手します。ペロブスカイト太陽電池を商用化するうえでは、安全性が最大の課題になります。そのため、同電池の安全性や信頼性を担保する仕組みを、施工業者やPPA(Power Purchase Agreement、電力購入契約)事業者を含めた事業者、政府、他の業界団体と連携しながら、整備したいと考えています(図2)。
なお、設立初年度(2026年度)は発起人の5社(前出の表1参照)で活動し、2026年12月から参画会員の公募を開始する予定です。ペロブスカイト太陽電池モジュールの製造に関連する企業だけでなく、普及拡大に必要な企業に幅広く参画を呼びかけます。ここは、JPSCの大きな特徴といえます。
図2 JPSCの運営体制と連携機関(予定)
注1:経済産業省ホームページ、「第7次エネルギー基本計画が閣議決定されました」、2025年2月18日
注2:JPSC:Japan Association for the Promotion of Perovskite Solar Cells
注3:サプライチェーン:Supply Chain。製品の原材料・部品の調達から販売までに至る供給網。
- この記事のキーワード



