豊田自動織機、V2G対応の「双方向車載充電器」で系統連系を実証
2026年7月15日 (水曜) 12:14
海外研究機関・メーカーと共同でV2G実機検証を実施
株式会社豊田自動織機(以下、豊田自動織機)は、スウェーデンの国立研究機関であるResearch Institutes of Sweden(以下、RISE。ライズ)、ノルウェーの充電器メーカーであるDEFA(デファ)社と共同で、双方向車載充電器注1を使用し、BEV(ベブ。Battery Electric Vehicle、電気自動車)注2などから系統電力網へ交流(以下、AC)電力を供給するV2G(ブイツージィ。Vehicle to Grid、車両から系統への接続)の実機検証を実施したと、2026年7月13日に発表した。
実証の結果、V2Gに関する国際規格「ISO15118-20」注3の要件に基づき、車載バッテリー(蓄電池)に蓄電した電力を車両側でACに変換し、系統電力網へ供給(放電)できることを確認した。
車載側でAC変換する新方式により、設備側の変換器が不要に
近年、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の導入が世界的に進んでいるが、電力を安定供給するため、天候や昼夜によって発電量が変動してしまう再エネ(VRE:Variable Renewable Energy、変動型再エネ)によって生じる電力需給の偏りを調整する重要性が高まっている。
こうした中、バッテリーを搭載するBEVは、昼間に太陽光発電などによる電力を蓄電し、夜間に電力網へ放電するなどのV2G用途での活用が期待されている。
従来の一般的な直流(以下、DC)方式のV2Gでは、図1に示すように、BEVに蓄電されたDC電力を、住宅などに設置された充放電設備でDC電力からAC電力に変換し、系統電力網(AC方式)注4へ放電する。
一方、今回採用されたAC方式のV2Gでは、図2に示すように、DCとACを双方向に変換できる車載充電器を使用した。これによって、車両からAC電力を変換しないで系統電力網へ供給できるため、充放電設備の簡素化や導入コストの低減が可能となり、今後の普及が期待されている。
図1 一般的な直流(DC)方式のV2Gの仕組み
出所 株式会社豊田自動織機 ニュースリリース 2026年7月13日、「Vehicle to Grid(V2G)の普及に向けた技術基盤を確立」
図2 豊田自動織機らが実証した交流(AC)方式のV2G:電力変換部(AC⇔DC)が不要
出所 株式会社豊田自動織機 ニュースリリース 2026年7月13日、「Vehicle to Grid(V2G)の普及に向けた技術基盤を確立」
安定供給と高い環境耐性を確認、V2G実用化へ前進
検証では、豊田自動織機がV2Gに対応する双方向車載充電器、DEFA社が新開発した充放電設備「DEFA Power」注5、RISE社が試験環境の整備をそれぞれ担当し、国際規格に基づく評価を実施した。
車両や充放電設備、系統電力網に渡る電力制御を行いながら、AC電力を安定供給する動作確認を実施した結果、供給効率や外部要因への耐性などの主要項目において所定の基準を達成し、V2G普及に向けた技術基盤を確立した。
今後、豊田自動織機は、今回の検証で明確となった課題解決や技術の高度化を進め、V2G対応の双方向車載充電器の早期商用化を目指す。
注1 双方向車載充電器:BEV(電気自動車)などに搭載される充電器。充電時には交流電力を直流電力に変換して車載バッテリーへ供給し、放電時には車載バッテリーの直流電力を交流電力に変換して外部へ供給する機能を備えている。
注2 BEV:Battery Electric Vehicle、バッテリー式電気自動車。バッテリー(蓄電池)を搭載し、そこから得た電気だけを動力源にして走行するクルマ。一方、EV(Electric Vehicle)は「電動車」と呼ばれ、電気を使って走る仕組みをもつクルマすべてを指す広い用語。BEVの他、例えば電気(蓄電池)とガソリン(モーターとエンジン)で走行するプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)などは、EVの仲間の1つ。
注3 ISO15118-20:電動車と充放電設備の双方向電力制御を実現するための通信インタフェースに関する国際規格。
注4 発電所から家庭のコンセントに至るまでの一般的な系統電力網は、交流(AC)方式が採用されている。
注5 DEFA Power:DEFA社が開発した家庭用の充放電設備。コンパクトで壁掛け設置が可能。
参考サイト
株式会社豊田自動織機 ニュースリリース 2026年7月13日、「Vehicle to Grid(V2G)の普及に向けた技術基盤を確立」
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