日立ソリューションズは2017年2月14日、工場などの作業員が簡単な操作で作業の進捗などの状況を管理者に伝えることを可能にする「サイコロ型IoTデバイス活用工数把握ソリューション」を発表した。2月15日から提供開始の予定。
このシステムでは、加速度センサーと無線通信機能を持つサイコロ型の機器「電子サイコロ」を利用する。この機器を作業員1人1人に持たせ、作業の進捗に応じて動かして向きを変えるようにする。電子サイコロは内蔵の加速度センサーで、どの向きにどれくらい回転したのかを検知し、どの面が上を向いているのかを判断する。その結果は作業場内に構築した無線通信網を通して、親機となるパソコンに送信する。また、電子サイコロと無線通信した基地局の位置から、サイコロを操作した作業員がどこにいる作業員であるかを把握できる。無線通信の方式はIEEE802.15.4規格に準拠したもの。「Zigbee」が物理層として採用しているものだ。
図 「サイコロ型IoTデバイス活用工数把握ソリューション」の機器、ネットワーク構成
出所 日立ソリューションズ
一般に、製造現場や工事現場の作業員は終業時間が過ぎたら、1日の作業内容と、それぞれの作業にかかった時間を紙に記録している。パソコンを利用したシステムがあるところなら、パソコンのキーボードを叩いて作業内容や時間を入力する。しかし、記述する言葉があいまいになり、記録内容が正確と言えないという例が多くあるという。また、時間についての記憶は忘れがちで、終業時の記録も大まかなものになりがちだ。特に、高齢者や外国人が多い現場では、この傾向が顕著だという。
そこで、作業内容を逐次通知するシステムを導入しようと考えても、システムが大掛かりになり、導入費用が高く付くので結局導入できないということもある。また、システムを導入できたとしても、操作法を教育するために時間と費用がかかってしまうという問題が発生する。
日立ソリューションズが今回発売するシステムは、以上の問題を解決するものだという。電子サイコロや無線ネットワークを構成する機器には安価なものを使用し、導入、運用にかかるコストを削減する。さらに、「サイコロを転がすだけ」で、作業内容とかかった時間を自動的に記録するので、事前の教育なしでも簡単な説明で正確に操作できる。作業の種類が多く、6面のサイコロでは内容を正確に伝えられないというときは、複数のサイコロを組み合わせるという。
個々の作業員の作業内容の履歴を表示する画面は、導入現場、作業内容、管理者の要望などを受けて最適なものを作成して提供するとしている。システムの導入費用は個別見積もり。作業現場の規模や、管理者画面の作りによって変動する。
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日立ソリューションズ