ラトックシステムと汎建大阪製作所は2017年5月30日、工場などで働く作業員の作業の進行度合いを通知する腕時計型端末「WorkWatch」を共同で開発したと発表した。6月下旬から出荷開始の予定。Bluetooth Low Energy（BLE）で通信する機能を持つ腕時計型端末に、端末と通信するゲートウェイ、ゲートウェイからの通信を受信するホストアダプター、作業管理用の専用Windowsプログラムの4つでシステムを構成する。ホストアダプターとゲートウェイ1台ずつと、腕時計型端末10個の「基本セット」の価格が58万8000円（税別：以下同様）。ホストアダプター1台にゲートウェイ2台、腕時計型端末20個をセットにした「拡張セット」の価格が98万8000円。専用Windowsプログラムは別途購入となる。年間ライセンスの価格が6万円。
図 WorkWatchのシステムを構成する機器。左がホストアダプター。中はゲートウェイ。右が腕時計型端末
出所 ラトックシステム
工場などで働く作業員が腕時計型端末を身に付け、工場などの作業現場には腕時計型端末とBLEで通信するゲートウェイを設置する。ホストアダプターは作業現場から離れた場所に設置して、USBでWindowsパソコンと接続する。管理者が専用のWindowsプログラムを見ながら作業の進捗を管理する。ゲートウェイとホストアダプターの間は、沖電気工業が開発した独自の無線通信方式で通信する。920MHz帯を使用する方式で、見通しでおよそ1kmの間隔で通信できるという。
図 WorkWatchのシステム構成例
出所 ラトックシステム
腕時計型端末を身に付けた作業者は、始業時間に端末を操作することで、その日の目標生産台数とタクトタイム（工程作業時間）を受信する。目標生産台数とタクトタイムは、管理者が専用プログラムに事前に設定する。作業者が持ち場に立って作業を始めるときは腕時計型端末の正面下にある大きい黒いボタンを押す。また、作業終了時も同じボタンを押す。こうすると、作業開始時間、終了時間がゲートウェイとホストアダプターを通して管理者が見ている専用プログラムに届く。管理者はその間の生産個数を専用プログラムに入力する。これで専用プログラムはライン単位、作業者単位で生産実績と1台を生産するのにかかった時間などを算出してグラフで表示する。グラフを見れば、生産効率を下げている部分がすぐに分かるので、人員の配置転換などの改善策をすぐに実施することができる。
また、腕時計型端末には作業者の安全を守る機能も備わっている。温度、湿度センサーと6軸加速度センサーを内蔵しており、温度、湿度、不快指数が事前に設定したしきい値を超えたら管理者に通知しながら、同時に腕時計型端末が内蔵するバイブレーターが作動して、作業者に通知し、休憩を促す。6軸加速度センサーは作業者が転倒、落下したことを検知して、管理者に通知する。
ゲートウェイは1台につき最大で16個の腕時計型端末と通信可能になっている。そして、ホストアダプターは1台につき、最大で8台のゲートウェイと通信できる。専用プログラムでは、1ライン当たり最大16の工程（16人の作業員）を設定でき、そのラインを7ラインまで設定し、管理することができる。つまり、最大で112人の作業員まで管理可能となっているということだ。
WorkWatchはラトックシステムと汎建大阪製作所が共同で開発し、試作品を汎建大阪製作所の製造ラインに導入して改良を重ねてきたという。今後は管理機能に自動化の仕組みを導入することを検討しているという。
