特集

Q&Aで学ぶH.264/AVC(5):どのような情報が圧縮されるのか?

大久保 榮

2008年3月6日 0:00

このコーナーでは、最新のICT(情報通信技術)のキーワードをQ&A形式でわかりやすく解説していきます。
ブロードバンド時代の急速な進展を背景に、通信と放送の融合が注目され、本格的な画像コミュニケーション時代が到来しています。このような時代の要請に対応して、新しい「H.264/AVC」という画像圧縮技術が標準化され、国際的な注目を集めています。今回は、情報の圧縮について解説します。

Q&Aで学ぶ基礎技術:最新の情報圧縮技術:H.264/AVC編(2)
Q5

Q5:どのような情報が圧縮されるのか?

デジタル化された情報のどのような部分が圧縮されるのでしょうか。圧縮された情報は完全に元に戻せるのでしょうか?
A5

≪1≫圧縮とは「冗長な情報を取り除くこと」

Q.4で説明したようにPCM方式で、圧縮しないままデジタル化された情報(標本 値の集まり)には、繰り返して登場する同じ値や少しずつ違う値など、多くの「冗長な情報」が含まれています。このような、繰り返し登場するなど重複している情報は、削除しても元の音声品質や画像品質に影響を与えないので、「冗長な情報」と言われます。

例えば、極端な例で言いますと、

⇒ 「その女の女性は、文章を書く文字が大変きれいでした」(24文字)という文章は、
⇒ 「その女性は、文章の文字が大変きれいでした」(20文字)

というように、「冗長な情報」を削除して24文字を20文字に圧縮しても文章の意味は変わらないというようなことに似ています。

このような多くの「冗長な情報」を取り除いて、必要最小限の情報を取り出す処理のことを「圧縮する」と言います。

圧縮技術には、大きく分けて、

① 可逆的な圧縮
② 非可逆的な圧縮

の2種類があります(図1-6)。


図1-6 可逆的な圧縮と非可逆的な圧縮の違い(クリックで拡大)

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