ペロブスカイトで斜面を保護しながら発電、奥村組が検証
「太陽電池防災シート」の実証試験を開始12月17日 19:51
「太陽電池防災シート」の実証開始
株式会社奥村組(以下、奥村組)と国立大学法人岩手大学は、ペロブスカイト太陽電池注1などの次世代太陽電池を貼り付けたシート「太陽電池防災シート」の実証試験を開始した。シートを試験用の盛土斜面に設置し、発電性能と斜面防災効果を検証する。2025年12月17日に発表した。
カーボンニュートラルと防災・減災を解決
奥村組が開発する太陽電池防災シートは、再生可能エネルギーを生み出す「発電機能」と、雨水の浸透を防ぐ「遮水機能」を併せ持つシート。斜面災害対策が必要な箇所を太陽電池の設置場所として活用でき、カーボンニュートラルの実現と防災・減災という、2つの社会課題を同時に解決できるという。岩手大学理工学部の大河原 正文 教授が考案した。
実証では、フィルム状のペロブスカイト太陽電池とシリコンベースのローラブル太陽電池注2を貼り付けた遮水シートを、茨城県つくば市にある奥村組技術研究所内に造成した盛土斜面に設置する。
その上で、(1)斜面設置時における各太陽電池の発電効率や性能変化、(2)斜面への効率的かつ安全なシート設置方法、(3)太陽光、風雨、温度変化といった自然環境下でのシートおよび太陽電池の耐久性、(4)シートを設置した場合としない場合の、盛土内の間隙水圧の変化を比較・測定し、雨水の浸透抑制効果の4つを検証する。
実証の全体を大河原教授が指導し、ペロブスカイト太陽電池は株式会社マクニカと、ローラブル太陽電池は株式会社SOELと共同で実証を実施する。
今後、奥村組は、効率的かつ効果的な設置方法を検証し、斜面だけでなく、その他の傾斜地や未利用スペースへの適用可能性を探索する。
注1:ペロブスカイト太陽電池:結晶構造「ペロブスカイト」を用いた次世代太陽電池。軽量で柔軟性があり、従来のシリコン型では設置困難だった壁面や緩い構造物への導入が期待されている。
注2:ローラブル太陽電池:柔軟性があり、丸めて持ち運びや設置ができる太陽電池。