東京メトロ、地下鉄初のバイオマスで環境価値を調達
会社全体のCO₂排出量を6.5%削減10:27
佐野バイオマス発電とバーチャルPPA締結
東京地下鉄株式会社(以下、東京メトロ)は、関西電力株式会社(以下、関西電力)などが出資する合同会社佐野バイオマス発電(以下、佐野バイオマス発電)と、バイオマス発電のバーチャルPPA(電力購入契約)注1を締結した(図1)。これにより、同社が排出する年間二酸化炭素(CO₂)を6.5%削減すると見込む。2025年12月11日に発表した。
国内材活用バイオマス発電によるバーチャルPPA
今回締結したバーチャルPPAでは、佐野バイオマス発電がバイオマス発電所を開発・運営し、そこで国内材を活用して発電した追加性注2のある再生可能エネルギー(再エネ)電力の環境価値のみを東京メトロが調達する(図2)。
調達量は年間約5100万kWh分で、契約期間は約19年間。年間で約2万1981トンのCO₂排出量を削減し、これは同社が排出するCO₂の6.5%にあたるとしている。また、スギの木約156万本が1年間に吸収するCO₂量に相当するという。
東京メトロは、長期環境目標「メトロCO₂ゼロ チャレンジ 2050」で、CO₂を2030年度に2013年度比で53%削減、2050年度に実質ゼロにするという目標を示している。2024年4月には丸ノ内線・南北線の使用電力をすべて水力発電由来の再エネに置き換えている。また、東西線では家庭用太陽光発電の余剰電力の環境価値を調達し、一部使用電力を実質再エネ化している。
バーチャルPPAによる調達については、これまで太陽光、風力、小水力といった電源を活用しており、今回のバイオマス発電の追加により、再生可能エネルギーの調達ポートフォリオを拡充する。今後は、バーチャルPPAなどにより、再エネの活用を進める。
佐野バイオマス発電は、関西電力、株式会社ビーエイブル、バイオマス・フューエル株式会社、那須建設株式会社が出資する特別目的会社 。
注1:バーチャルPPA(電力購入契約):需要家の敷地外に建設する専用発電所で発電された再生可能エネルギーの環境価値のみを、需要家が調達する再生可能エネルギー導入の形態のこと。
注2:追加性:再エネ電力や非化石証書などを購入することで、世の中に新たな再エネ設備が増えていくこと。
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