希少金属不要で低コストのペロブスカイト、東京ガスが英企業と実証

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2026年3月26日 (木曜) 8:00

英パワーロールのペロブスカイトを共同実証

 東京ガス株式会社(以下、東京ガス)は、英Power Roll Ltd(以下、パワーロール)と、ペロブスカイト太陽電池注1の共同実証を開始した(図1)。独自技術により、希少金属のインジウム注2を使用しないパワーロール製電池の性能などを検証するとともに、国内製造も検討する。2026年3月25日に発表した。

図1 パワーロール製ペロブスカイト太陽電池パネル

出所 東京ガス株式会社 プレスリリース 2026年3月25日、「東京ガス・パワーロールが低コスト次世代ペロブスカイト太陽電池の共同実証を開始」

ITO不要の独自構造でコスト削減を可能に

 実証では、パワーロール製のペロブスカイト太陽電池を、東京ガスが独自の接着工法で設置し、分散型電源の運用ノウハウを適用して約1年間にわたりモニタリングする。日本の気候条件下での発電性能や耐久性を検証するほか、ユースケースの整理、認証制度への対応、国内における製造・供給体制の共同構築についての検討を進める。

 パワーロールが開発したペロブスカイト太陽電池は、プラスチックシートに微細な溝をつける独自技術により、光を効率よく電気に変える「マイクログルーブ構造」を採用している(図2)。これにより、TCO(透明伝導性酸化物)基板の材料で、インジウムを使用するITO(インジウムスズ酸化物)を不要にし、低コストでの製造を可能にするという。加えて、部分的な影や欠陥が生じた際も発電量の低下を抑えることができ、実環境での安定した発電性能と効率的な量産が期待できるとする。

図2 マイクログルーブ構造を採用したセルの拡大イメージ

出所 東京ガス株式会社 プレスリリース 2026年3月25日、「東京ガス・パワーロールが低コスト次世代ペロブスカイト太陽電池の共同実証を開始」

 ITOは希少金属であるインジウムを用いるため高価であり、一般的な同電池における材料費のうち40~60%を占めている。その代替は、ペロブスカイト太陽電池のコストを削減する上での課題になっており、各社が模索している。また、インジウムには資源の枯渇リスクや特定の国に依存するカントリーリスクといった安定供給上の懸念も存在する。

 政府は、「第7次エネルギー基本計画」で、2040年の電源構成に占める太陽光の割合を22~29%にまで拡大する目標を示している。しかし、従来のシリコン系パネルは重く、屋根の耐荷重や設置スペースの制約が普及の壁となっている。薄型・軽量で柔軟に曲げられるペロブスカイト太陽電池は、これまで設置が困難だったビル壁面や耐荷重の低い工場屋根などへの導入が期待されている。


注1:ペロブスカイト太陽電池:結晶構造の一種である「ペロブスカイト」を用いた太陽電池。薄く、軽く、曲げられるという特徴を持ち、次世代太陽電池の筆頭とされる。
注2:インジウム:液晶ディスプレイの透明電極などに使われる希少金属。産出地が偏っており、価格変動や供給リスクが指摘されている。

参考サイト

東京ガス株式会社 プレスリリース 2026年3月25日、「東京ガス・パワーロールが低コスト次世代ペロブスカイト太陽電池の共同実証を開始」

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