森林・木材の吸収・固定でCO2排出量を相殺、温対法に新ルール

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2026年3月25日 (水曜) 14:46

森林・木材の吸収を排出量から差し引き可能に

 環境省、経済産業省、農林水産省の3省は2026年3月23日、企業が所有する森林や木材が蓄積する炭素の量を、法的報告義務のある温室効果ガス(GHG)排出量から差し引ける新たな算定ルールを発表した。2026年4月1日から適用する。これまで評価が不十分だった森林や木材によるCO2の吸収・固定量の算定方法を定めた。これにより、特定の事業者が所有する森林や木造ビルの炭素蓄積量を、排出削減の実績として計上可能になる。

温対法報告制度における算定方法の拡張

 「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」では、年間のエネルギー使用量が原油換算で1500キロリットル以上となる特定事業所排出者に対し、国への温室効果ガス(GHG)排出量の報告を義務付けている。

 今回の告示は、特定事業所排出者が報告するGHG排出量の算定方法を見直したものである。具体的には、事業者が任意で調整後排出量注1の算定に森林吸収量等を用いることができるよう、新たに「森林等炭素蓄積変化量」の具体的な算定方法を定めた。

 算定の対象は多岐にわたる。森林については、樹種や林齢ごとの蓄積変化量に、国が公表する係数を乗じて算出する方式を基本とするが、実測値を用いた算定も認められる。また、森林以外の土地を森林へ転用した際の炭素蓄積変化量も算定に含まれる。

 木材に関しては、使用した木材の品目や樹種に応じた蓄積量を算出する。建築物その他の工作物に使用された木材については、過去に廃棄または滅失した際の報告を行っている場合に限り、新規建築時の蓄積量を算定できる。ただし、廃棄した木材の重量等が不明な場合は、床面積当たりの標準的な係数を用いる代替策も用意されている。

 運用の透明性と継続性を確保するため、詳細な報告ルールを規定した。一度報告を行った場合、翌年度以降も毎年度継続して報告を行う義務を負う。

 また、資産の移動に伴う処理も明文化された。森林や木材を他者へ譲渡した場合には、過去に報告した蓄積変化量を自社の排出量に加算し、譲り受けた側が当該量を控除する仕組みとする。特筆すべき点として、自ら所有しない森林であっても、所有者との同意がある場合に限り、森林の管理者がその蓄積変化量を自社の排出算定に用いることができる規定が盛り込まれた。

 なお、災害などの不可抗力により蓄積量が減少した場合には、その減少分を報告に含めないことができる救済条項が設けられ、企業の自然資本管理におけるリスクにも配慮されている。

 本告示および改正案は2026年4月1日から適用され、実際の報告制度への反映は、2026年度の実績を報告する2027年度の受け付け分からとなる。


注1:調整後排出量:実排出量(基礎排出量)から、非化石証書やJ-クレジットなどの排出削減分を差し引いて調整した後の排出量。

参考サイト

環境省 報道発表 2026年3月23日、「『温室効果ガス算定排出量等の報告等に関する命令第一条第八号に規定する環境大臣、経済産業大臣及び農林水産大臣が定める森林等炭素蓄積変化量』等の公布について」

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