航空機の静脈産業を構築へ、NEDOが新事業
2026年5月21日 (木曜) 6:53
退役航空機からCFRPを回収しリサイクル網を確立へ
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)は、退役航空機から炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRP)注1を回収し、航空機の部材として再利用するサプライチェーンの構築に着手する。これにより、廃棄物と二酸化炭素(CO2)排出量の削減につなげるという。2026年5月20日に発表した。
図1 NEDOの新事業では、航空分野で製品から資源を回収し再利用する静脈産業の構築を目指す
出所 NEDO ニュースリリース 2026年5月20日、「退役航空機から回収する炭素繊維強化プラスチックのリサイクル活用事業を開始します」
SUBARUら5機関を採択し2030年度まで実施
NEDOの「次世代航空機向け静脈産業構築事業(次世代航空機向け複合材資源循環システムの研究開発)」は、退役航空機の機体の解体・切断から、CFRPの回収、炭素繊維の再生、再利用に至るまでのサプライチェーン構築を目指すもの。
具体的な事業プロセスとしては、まずリサイクルサプライチェーンの成立条件や課題を明確化し、事業性の高いモデルを検討する。その上で、(1)退役した航空機からCFRPを効率的に回収するための解体・切断技術、(2)環境負荷に配慮した炭素繊維の回収・再生技術、(3)再生材料を利用可能な形状に加工する基材化プロセスという3つを開発する。さらに、再生材料の特性を評価し、最終的には航空機の二次構造部品や内装部品への適用に向けた要件定義と、テスト機を用いた実証を行う。
事業期間は2026年度から2030年度までの5年間を予定しており、2026年度の予算は5.4億円である。
実施予定先として、国立大学法人東海国立大学機構、一般財団法人ファインセラミックスセンター、株式会社SUBARU、株式会社ジャムコ、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の5機関を採択した。
NEDOによると、航空機には軽量で高強度なCFRPが広く採用されており、燃費向上やCO2の排出削減につながっている。一方で航空機には運用寿命が存在し、今後2030年から2045年頃にかけて多数の機体が退役時期を迎える見込みだ。近年、CFRPの原料に炭素繊維のリサイクル材を活用することは、新品の材料を使用する場合と比較して製造段階のCO2排出量を大幅に削減できることが明らかになっている。そのため、退役機から大量に発生するCFRPの回収および再利用技術に期待が寄せられている。
注1:CFRP(炭素繊維強化プラスチック):Carbon Fiber Reinforced Plasticsの略称。炭素繊維と樹脂を複合した、軽量かつ高強度な先端素材。
参考サイト
NEDO ニュースリリース 2026年5月20日、「退役航空機から回収する炭素繊維強化プラスチックのリサイクル活用事業を開始します」
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