INPEXら3社、世界最大級e-メタン事業で環境証書の管理システム稼働
2026年6月8日 (月曜) 15:03
e-メタンのクリーンガス証書をシステムで移転・管理
株式会社INPEX(以下、INPEX)、大阪ガス株式会社(以下、大阪ガス)、三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)の3社は、世界最大規模でe-メタンの製造を目指す事業で、e-メタン注1の環境価値をもとにしたクリーンガス証書注2を、需要家に移転するとともに管理するためのシステムの運用を2026年6月4日に開始した(図1)。都市ガス業界では初の取り組みで、システムによって事業の進捗管理を高度化するという。同日に発表した。
図1 クリーンガス証書の移転・管理の全体像
需要家と共同で移転・管理を進め地産地消モデルを構築へ
3社が運用するシステムは、デジタル基盤「CO2NNEX(コネックス)」(三菱重工製)を活用し、クリーンガス証書を移転・管理するためのもの(図2)。同基盤により、e-メタンや、その原料となる二酸化炭素(CO2)や水素の量、ライフサイクルにおけるCO2排出量などのデータに加え、クリーンガス証書の取得・利用状況を可視化し、一元管理する。三菱重工と大阪ガスが実装を担い、今回の実装は2025年日本国際博覧会に続く、2例目である。
図2 システムにおける実証全体の進捗管理画面のイメージ
今回、同システムの運用を、INPEXと大阪ガスが、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の採択を受けて進めている「気体燃料へのCO2利用技術開発/大規模なCO2-メタネーションシステムを用いた導管注入の実用化技術開発(以下、長岡メタネーション実証)」事業で開始した。
同事業では、INPEXの子会社である株式会社INPEX JAPAN(以下、INPEX JAPAN)の長岡鉱場・越路原プラント内(新潟県長岡市)で回収したCO2と水素を用いてe-メタンを製造し、INPEX JAPANの天然ガスパイプラインを通じて需要家に届ける計画だ。
2021年に、メタネーションシステムの技術開発を開始し、2023年から、製造能力が400 Nm3-CO2/hで世界最大級という試験設備の建設を進めてきた。2026年1月27日に、同設備がクリーンガス証書評価委員会のクリーンガス製造設備認定を受け、同年2月20日に、製造したe-メタンの天然ガスパイプラインへの注入を開始した。さらに、同年5月29日には、同設備で製造されたe-メタンがクリーンガス相当量の認証を取得した。
2026年度には、経済産業省が、e-ガソリンやSAF(Sustainable Aviation Fuel、持続可能な航空燃料)注3などの液体燃料、e-メタン、バイオガスなどの気体燃料を含めた次世代燃料の環境価値証書に関する制度実証事業を予定している。3社は、長岡メタネーション実証におけるCO2NNEXの運用が、将来の証書制度構築を見据えた先行事例の1つになることを目指している。
今後、3社は、長岡市、朝日酒造株式会社、岩塚製菓株式会社と共同で、CO2NNEXを活用したクリーンガス証書の移転・管理を進める。これにより、地産地消モデルを構築するという。
注1:e-メタン: グリーン水素などの非化石エネルギー由来の水素と、工場などから回収したCO2を合成して製造される合成メタン。
注2:クリーンガス証書:e-メタンやバイオガスなどのクリーンなガスが持つ環境価値を、ガスそのものの物理的な価値から切り離し、証書化して取引可能にしたもの。
注3:SAF(Sustainable Aviation Fuel、持続可能な航空燃料):廃食油、都市ごみ、バイオマス、あるいはCO2と水素などを原料として製造される航空燃料。
参考サイト
株式会社INPEX ニュースリリース 2026年2月24日、「世界最大級のメタネーション試験設備における実証運転の開始について」



