エリクソン、次世代5Gソフト「AI in RAN」を発表!:追加ハード不要で5GをAIネイティブ化へ

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2026年6月22日 (月曜) 16:55

「AI in RAN」:追加ハードなしで自律的なネットワーク最適化を実現

 エリクソン(スウェーデン・ストックホルム)は2026年6月11日、ソフトウェア・サブスクリプション「AI in RAN」を発表した注1。同ソフトウェアは、ベースバンド(基底帯域)や無線機に通信事業者品質のAIモデルを組み込むもので、これにより、通信の効率性とパフォーマンスの向上、省電力を実現する。2026年第2四半期より提供開始の予定。

 商用展開が可能な同製品の導入にあたり、通信事業者は5Gネットワークへの追加ハードウェアを必要としない。そのため、AIが自律的にネットワークを最適化する「AIネイティブなRAN」(Radio Access Network、無線アクセスネットワーク)へのスムーズな移行が可能となる。

「AI in RAN」がもたらす3つの核心機能

 「AI in RAN」が導入する主な機能は以下の通り。

(1)    キャリアグレード(通信事業者品質)のAIモデル:RAN内でリアルタイムに動作するように設計
(2)    継続的な学習機能:拡張性と高品質性を備えたデータに支えられたソフトウェア
(3)エージェンティックAI(自立型AI)注2への対応:高度なRANの自動化とネットワーク運用を実現

 エリクソンのネットワーク戦略・製品管理部門責任者であるMårten Lerner(マーテン・ラーナー)氏は、「強力なAI機能を通信事業者に提供することで、モバイルネットワークの可能性を再定義している。『AI in RAN』により、2026年2月に発表したAI対応の無線機注3とともに、AIネイティブなネットワークに向けた一歩を踏み出す」と述べる。

 AIモデルは、マイクロ秒単位の超低遅延推論を実現するように設計されており、多様かつ動的なRAN環境で高い信頼性と堅牢性を提供する。また、専門的な知識に基づいて開発されており、高品質なデータでトレーニングしている。

「Ericsson 5G Advanced」との連携で「AI for Networks」ビジョンを具現化

 「AI in RAN」は、専用設計のRANとクラウドRANの両プラットフォームにおいて、同「Ericsson 5G Advanced」注4と連携し、新たなAI駆動型サービスを実現する。これにより、AI技術を活用してネットワークのパフォーマンスと効率性を向上させるというエリクソンの「AI for Networks」注5ビジョンを具現化する。

 同ソフトウェアは、無線ネットワーク内の適切な箇所に適切なAIモデルを配置できるよう設計されている。無線機内での省電力化のためのAI推論を支える「エリクソンシリコン」や、最新世代の「RAN Compute」注6を活用する一方、クラウドRANの可搬性により、パートナー企業のプラットフォーム全体へのAI機能の展開も可能にする。

下り通信速度を最大20%向上、周波数利用効率を最大10%改善

 AI in RANは、初期機能を2026年第2四半期に提供開始し、同年後半に機能拡張を予定している。導入されるソフトウェア機能には、次のようなものがある。

・AIネイティブのリンクアダプテーション用スケジューラ(電波状況に応じた最適な通信方式の割り当て)
・AIベースのマクロポジショニング(モバイル端末の位置測定)
・AI制御のビームフォーミング(電波の指向性制御)
・AIベースのマルチレイヤ協調(複数周波数帯をまたぐ通信制御)
・パフォーマンスを管理するためのイベントスキーマファイルのデコード(データ変換)
・「AI in RAN」向け拡張オブザーバビリティ(可観測性:観測する能力。予期せぬトラブルを防ぐ仕組み)

 AI in RANは、すでに世界15件以上の商用ネットワークで、導入やトライアルの実証が行われている。下り通信速度を最大20%向上させ、周波数利用効率を最大10%改善する。また、高トラフィックユーザーへの対応数を最大2倍に拡大することも可能だ。さらに、90~95%のカバレッジ予測精度を実現するとともに、ユーザー位置の推定精度を最大5倍に高める。


注1エリクソン、「The RAN gets smarter: Ericsson puts AI where it matters」
エリクソン・ジャパン株式会社(妙訳)

注2:エージェンティックAI(自立型AI): Agentic AI。人が指示を出さなくても、設定された目標実現に向けてAI自らが状況を理解し、計画から実行までを自律的に行うAIシステムのこと。

注3エリクソン・ジャパン株式会社 プレスリリース 2026年2月17日、「エリクソン、次世代のネットワークを支えるAI対応無線機、アンテナ、AI RANソフトウェアを発表」

注4:Ericsson 5G Advanced:5G機能を拡張し、通信の高速化や超低遅延、運用自動化などを実現する次世代のソフトウェア群。

注5:AI for Networks:AI技術をインフラのコアに組み込み、ネットワーク全体のパフォーマンスと効率性を自律的に最適化していくエリクソンが提唱するビジョン。

注6:RAN Compute:基地局でのデータ処理や制御を効率的に行うための、エリクソン製の最新世代の高性能コンピューティング(データ処理)基盤。

参考サイト

エリクソン・ジャパン株式会社 プレスリリース 2026年6月15日、「よりスマートなRANへ―エリクソン、AIを最適な場所に組み込む新ソフトウェアを発表」
エリクソン・ジャパン株式会社 プレスリリース 2026年2月17日、「エリクソン、次世代のネットワークを支えるAI対応無線機、アンテナ、AI RANソフトウェアを発表」
エリクソン、「Tailor networks for AI with Ericsson 5G Advanced」
エリクソン、「Telecom AI」

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