中部電力は2017年5月9日、同社エリア内の電柱や同社保有の建物にLPWA(Low Power, Wide Area)無線通信の受信機を設置し、業務効率向上を目指す実証実験を実施すると発表した。実験は2017年夏ごろに開始する予定。
実験で使用するLPWA技術は、ソニーとソニーセミコンダクタソリューションズが4月27日に発表した、独自のLPWA技術(参考記事)。中部電力はソニー独自のLPWA技術について、移動中の通信に強く、長距離通信が可能という点を評価している。
実験では、点検や顧客サービスに回る従業員にGPS(Global Positioning System)機能が付いたLPWA送信機を持たせる。さらに、従業員が巡回に使う車両にもLPWA送信機を搭載する。LPWA送信機が送り出す位置情報を電柱などに取付けた受信機で受信し、中部電力が運営するクラウドに送信、蓄積する。
図 中部電力が企画している実証実験の概要
出所 中部電力
中部電力は蓄積したデータ位置情報を地図に重ねて表示するアプリケーションを開発し、業務効率の向上や安全管理業務にLPWAを応用できる可能性を探る。中部電力は業務効率向上はもちろん、山間部など人が入りにくい場所の巡視や安全管理、送配電設備の監視などに応用できると期待している。
中部電力は、2017年夏ごろの実験開始前に愛知県豊田市内にLPWAネットワークを構築する。さらに、自社で実証実験を実施するだけでなく、中部電力が構築したLPWAネットワークを活用したサービスの検証も検討している。そのために中部電力はサービスを企画する、あるいはすでにサービスのアイデアを持っているパートナー企業を募集する。パートナー企業と共同で実証実験を進めて、LPWAネットワークを活用した新たなサービスの可能性を探る。
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