アメリカNEC Energy Solutionsは2018年6月21日(アメリカ東部標準時)、ヨーロッパ最大の蓄電池システムの構築が完了し、稼働が始まったと発表した。この蓄電池システムはドイツEnspireMEが発注したものでドイツ最北端、デンマーク国境近くのシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州のヤルデルント地区に設置した。
図 稼働を始めたヨーロッパ最大の蓄電池システム
出所 Eneco Group、三菱商事
EnspireMEは、三菱商事とオランダ公営のエネルギー企業であるEnecoが折半出資で設立した企業だ(参考記事)。NEC Energy Solutionsは2017年4月に、EnspireMEからこの蓄電システムの構築を受注していた(参考記事)。
ヨーロッパの送電系統業者は、電源喪失や大規模停電に備えるために一定の予備電力を確保しなければならない。EnspireMEは今回新設した蓄電池システムに充電した電力を、取引市場を通して送電系統業者に予備電力を販売する。
さらに三菱商事とEnecoは、この蓄電池システムに風力発電所を接続し、発電した余剰電力を充電するサービスも検討する。余剰電力を送電系統にそのまま流してしまうと、送電系統が不安定になり、大規模停電などのトラブルを起こす可能性がある。三菱商事とEnecoは、風力発電所の余剰電力を今回構築した蓄電池に受け入れることで、風力発電所の運営者から料金を受け取ることを計画している。
稼働を始めた蓄電池システムは、定格出力が48MW(4万8000kW)で、合計蓄電容量は50MWh(5万kWh)を超える。NEC Energy Solutionsは、同社の蓄電池システム「GRID STORAGE SOLUTION」を組み合わせて、今回の蓄電池システムを構築した。