ACCESSとドコモのエネルギーマネジメント事業
6月25日、ACCESSとドコモは、需要家(家庭)向けエネルギーマネジメント事業における協業を発表した(図4、表1)。
図4 需要家向けエネルギーマネジメント・ソリューション「POWERGs」の概要
出所 https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2021/06/25_01.html
表1 POWERGs(パワージーズ)によるサービスの特長
出所 各種資料をもとに筆者作成
この協業において、ACCESSが企画・開発する需要家向けエネルギーマネジメント・ソリューション「POWERGs(パワージーズ)」(図4)に、ドコモIoTマネージドサービスを活用し、2022年2月を目途に、日本全国のエネルギーマネジメントサービスを販売する事業者(エネマネ事業者)を対象に、ACCESSのサービスとして提供を開始する。
両社の役割は、次の通りである。
- ドコモは、電力データを集約するLTE回線(SIM)対応ゲートウェイの提供に加えて、ドコモIoTマネージドサービスによる住宅環境でのIoT運用実績・ノウハウを活用した企画、運用管理をACCESSに提供する。
- ACCESSは、ドコモの提供環境を基盤に、エネルギー管理クラウドサービスおよび運用サポートをワンストップで提供することで、エネマネ事業者のサービスの市場投入を迅速化し、開発・運用コストの削減を実現する。さらに、低圧向け一般需要家向けの再エネアグリゲーション事業やマイクログリッド事業を中心に市場展開を行う。
一般に、HEMSゲートウェイに接続される再エネ機器の管理を、サービスごとに構築するケースが多いが、再エネを利用してサービスを行うエネルギー事業者にとっては、この費用対効果の判断が難しい。
一方、ACCESSのPOWERGsゲートウェイ(HEMSゲートウェイ)(表2)は、ゲートウェイにLTEモジュールやSIMをあらかじめ搭載して再エネ機器の管理などのサービスを、ワンストップで提供できる。これによって、再エネを利用してサービスを行うエネルギー事業者の投資効果の削減が可能になる。
表2 「POWERGsゲートウェイ」の主な機能
OTA:各種ソフトウェアの遠隔からのアップデート
出所 各種資料より筆者作成
需要家向けエネルギーマネージメント事業の今後
脱炭素社会の実現へ向けて、需要家宅のみならず、小売店舗や学校、病院、公共施設においても、再エネの導入がこれまでよりも活発に行われていくと考えられる。
しかしその一方で、その実現には、需要家宅に機器を設置する事業者のITリテラシーの問題や、ゲートウェイと再エネ機器を接続してシステム連携し安定稼働させるための検証など、多くの課題があることも事実である。
今回、ACCESSとドコモが発表した「需要家向けエネルギーマネジメント事業」は、これらの課題の多くを解決し、ESG注3の一環として、再エネの利用拡大へ向けて、需要家宅への機器の設置の容易性、設置後の機器の運用管理、VPPやマイクログリッドシステムやSociety 5.0基盤との連携などの拡張性も図るとしている。
▼ 注3
ESG:Environment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)の頭文字をとって作られた造語。企業の安定的・長期的な成長のためには、ESGが示す3つの観点が必要だという考え方が、世界的な潮流となっている。ESGの観点は、企業の株主である機関投資家の間で急速に広がってきている。