建設廃プラをケミカルリサイクルで再生油へ、鹿島・竹中らが産廃並みコストで実証

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2026年6月3日 (水曜) 13:35

建設系廃プラのケミカルリサイクルで再資源化率向上

 鹿島建設株式会社(以下、鹿島)、株式会社竹中工務店(以下、竹中工務店)、日本通運株式会社(以下、日本通運)、株式会社リファインバースグループ(以下、リファインバース)、株式会社あおぞら(以下、あおぞら)、三菱ケミカル株式会社(以下、三菱ケミカル)の6社は、建設現場から排出される廃プラスチック(建設系廃プラ)を油化して再利用するケミカルリサイクル注1技術の実証事業を完了した(図1)。ケミカルリサイクルにより、従来は大部分が熱回収、焼却や埋立処分されていた建設系廃プラの再資源化率を向上させるとともに、現状の処理方法と比較してCO2排出量を15%削減しつつ、既存の産業廃棄物処理と同等程度のコストで実施できることを確認したという。2026年6月2日に発表した。

図1 6社によるケミカルリサイクルの流れ

出所 鹿島建設株式会社 プレスリリース 2026年6月2日、「建設現場から排出される廃プラのケミカルリサイクルを実証」

産廃処理と同等程度のコストで実施可能に

 6社の実証では、建設系廃プラから再生油を精製するケミカルリサイクル技術を活用した静脈系サプライチェーン注2の構築を目指し、環境負荷や採算性を評価した。

 具体的には、鹿島と竹中工務店が関わる都内6カ所の新築工事現場から、計55トンの建設系廃プラを回収した。それを日本通運などが収集・運搬、リファインバースが選別・集積した上で、あおぞらが原料加工し、最後に三菱ケミカルが油化した。

 油化に適した素材を選別して原料化し、実際に再生油を製造する過程で各種データを取得した。このデータに基づき、ケミカルリサイクルの対象となる廃プラを、不純物の混入状況や素材に応じてステージ1〜3までの3段階と、今後受け入れ条件が判明する「その他」に分類し、それぞれの発生割合を特定した。

 不純物が少ない「ステージ1(無色透明なプラスチック)」と「ステージ2(有色・印字・紙ありのプラスチック)」に区分される建設系廃プラが全体の35%を占め、これらは現状でケミカルリサイクルによる油化が可能であることを確認したとする。また、ステージ1とステージ2以外の物質や高濃度付着物である、「ステージ3」の発生割合は全体の15%で、技術対応や設備の追加を行えばケミカルリサイクルの適用が可能になることが示唆されたとしている(図2)。

図2 ケミカルリサイクルの対象となる建設系廃プラの区分と発生割合

出所 鹿島建設株式会社 プレスリリース 2026年6月2日、「建設現場から排出される廃プラのケミカルリサイクルを実証」

 ケミカルリサイクルの導入に関する環境性評価は、ライフサイクルアセスメント(LCA)注3の手法を用いた。ステージ1・ステージ2の建設系廃プラを再生油へ再資源化する「ケミカルリサイクル導入シナリオ」と、従来通り固形燃料(RPF)化による熱回収を行う「現状シナリオ」の2つを設定し、それぞれのCO2排出量を事業で取得した実データをもとに算定した。その結果、建設系廃プラの35%をケミカルリサイクルすると、現状シナリオと比較してCO2排出量の総量を15%削減できることを確認したという(図3)。再資源化率の向上とCO2削減の両立を実証したとする。

図3 LCAによるCO2排出量の算出結果の比較

出所 鹿島建設株式会社 プレスリリース 2026年6月2日、「建設現場から排出される廃プラのケミカルリサイクルを実証」

 加えて、社会実装を想定した経済性も検証した。施設の立地や処理規模といった前提条件次第ではあるものの、既存の産業廃棄物処理と同等程度のコストで実施できる可能性を確認したとしている。

 今回の実証は、環境省の「令和7年度プラスチック資源循環に関する先進的社会実装モデル形成支援事業」の採択を受けて実施した。

 今後、6社は、本事業の知見をもとに、プラスチック資源の活用に向けた取り組みを進める。


注1:ケミカルリサイクル:廃プラスチックなどの廃棄物を化学的に分解し、油などの原料に戻してから再利用する技術。
注2:静脈系サプライチェーン:使用・消費された製品を廃棄物として回収し、再資源化や適正処理に至るまでの資源循環のネットワーク。
注3:ライフサイクルアセスメント(LCA):製品の原材料調達から製造、流通、使用廃棄・リサイクルに至るまでの過程(ライフサイクル)における環境負荷を定量的に評価する手法。

参考サイト

鹿島建設株式会社 プレスリリース 2026年6月2日、「建設現場から排出される廃プラのケミカルリサイクルを実証」
 

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