電力のみでCO2を蓄電池材料に直接変換、コスモ石油らが実証開始
2026年5月25日 (月曜) 13:19
「溶融塩電解技術」をベンチスケールで実証
コスモ石油株式会社(以下、コスモ石油)、国立大学法人京都大学(以下、京都大学)、アイ’エムセップ株式会社(以下、アイ’エムセップ)、住友重機械工業株式会社(以下、住友重機械)、SECカーボン株式会社(以下、SECカーボン)の5者は、電気エネルギーだけで二酸化炭素(CO2)から蓄電池などの材料になる固体炭素を作り出す「溶融塩電解技術」の実証をベンチスケールで開始した(図1)。試験装置を稼働させ、実用化の可能性を探る。2026年5月22日に発表した。
図1 5者は「溶融塩電解技術」を活用した固体炭素製造を共同で検討する
出所 コスモエネルギーホールディングス株式会社 プレスリリース 2026年5月22日、「溶融塩電解技術を用いたCO2由来固体炭素製造のベンチスケール検証を開始」
プロセス・材料の両面で実現可能性を検証
今回の実証で用いる「溶融塩電解技術」は、電気エネルギーのみでCO2を炭素材料へと転換する技術である。e-fuel(合成燃料)注1など他のCCU(二酸化炭素回収・有効利用)技術注2と比較し、製造コストを増やす要因となりやすいクリーン水素を必要としない。
コスモ石油と京都大学は2023年3月、溶融塩電解を活用し、CO2を炭素材へ作り変える技術の共同研究を開始した。さらに2024年1月には、プロセス開発を加速させるため、溶融塩電気化学プロセス技術の知見を持つアイ’エムセップが加わり、検討を進めてきた。
今回の検証では、コスモエネルギーグループ、京都大学、アイ’エムセップの3者がこれまで進めてきた共同検討を基盤に実施する。新たにプラント設計や化学プロセス機器に実績を持つ住友重機械と、炭素材料の製造に長年の実績があるSECカーボンが参画した。
実証では、溶融塩電解槽の内部でCO2を直接分解して固体炭素を生み出し、副生物として酸素(O2)を生成するプロセスを検証する。
原料となるCO2の調達や副生物(酸素)の活用、全体の環境評価はコスモ石油が担当する。溶融塩電解槽での反応プロセスは、アイ’エムセップが設計開発を主導し、住友重機械と共同でシステムの評価・スケール化を進める。
さらに、京都大学が電解条件の学術的知見を提供し、生成された固体炭素の材料化検討はSECカーボンが担う。
炭素年産数十kg規模のベンチスケール装置を用いた炭素生成検証を通じて、CO2を固体炭素へ転換する技術について、プロセスおよび材料の両面から実用化に向けた実現可能性を検証する。
コスモ石油によると、グラファイトやカーボンナノ材料などの固体炭素は、蓄電池や次世代エネルギー分野で不可欠な素材である。一方で、生産拠点が特定の地域に偏在しており、地政学的なリスクが課題として指摘されている。CO2を原料として炭素材料を製造する取り組みは、脱炭素社会の実現に寄与すると同時に、国産炭素材料のサプライチェーンの多様化と安定化をもたらす可能性がある。
注1:e-fuel(合成燃料):再生可能エネルギー由来の水素と回収したCO2を合成して作る脱炭素燃料。
注2:CCU(二酸化炭素回収・有効利用):Carbon dioxide Capture, Utilization。排出されたCO2を回収し、新たな製品やエネルギーとして有効活用する技術。
参考サイト
コスモエネルギーホールディングス株式会社 プレスリリース 2026年5月22日、「溶融塩電解技術を用いたCO2由来固体炭素製造のベンチスケール検証を開始」
コスモエネルギーホールディングス株式会社 プレスリリース 2024年1月29日、「コスモ石油とアイ’エムセップ、溶融塩電解技術を用いたCO2の有価物変換(CCU)に向けた共同検討に関する基本合意書を締結」
コスモエネルギーホールディングス株式会社 プレスリリース 2023年3月20日、「コスモ石油と京都大学、次世代エネルギーの安定供給技術などの共同開発検討に関する包括連携協定書を締結」



