国内初となるカルコパイライト太陽電池の壁面設置、東急不動産が植物工場で実証

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2026年5月27日 (水曜) 9:39

カルコパイライト太陽電池の壁面設置を実証

 東急不動産株式会社(以下、東急不動産)と子会社の株式会社Green Factory TFK(以下、TFK)は、株式会社PXP(以下、PXP)と連携し、東急不動産が運営する人工光型植物工場の壁面に薄膜太陽電池「カルコパイライト太陽電池」注1を設置する実証実験に取り組む(図1)。オンサイトでの再生可能エネルギー(再エネ)導入の拡大、脱炭素化、工場運営の安定化につなげるという。東急不動産が2026年5月26日に発表した。

図1 人工光型植物工場でのカルコパイライト太陽電池とカーポート型太陽光発電設備の設置イメージ

出所 東急不動産株式会社 ニュースリリース 2026年5月26日、「国内初 建物壁面への『カルコパイライト太陽電池』設置」

EMSと組み合わせて運用を最適化

 今回の実証では、1日約3万株のレタスを生産し、再エネ100%で運営する人工光型植物工場「テクノファームけいはんな」(京都府木津川市)に、PXP製のカルコパイライト太陽電池を設置する。PXPによると、同電池が建物の壁面に設置されるのは国内初だという。

 採用されたカルコパイライト太陽電池は、重量が1平方メートルあたり約800グラム、厚みが約0.9ミリメートル。軽量かつ薄型であり、曲面や垂直壁面など従来のガラス系モジュールでは適用が難しかった場所への設置が可能だという。

 実証実験は2026年7月以降に開始する予定であり、テクノファームけいはんなの工場壁面に軽量架台を設置して工期短縮と躯体負担の最小化を図る。

 1枚あたり出力約200ワットのパネルを使用し、季節や方位別の実発電データ取得による発電性能の評価を行うほか、風雨や温度変動、紫外線に対する耐候性・経年劣化の検証、遮熱効果・室内空調負荷への影響や躯体への長期荷重、保守性に関するデータの収集を実施する。実証の結果を踏まえ、より幅広い建物仕様への対応を進める。

 併せて、敷地内の駐車場に、容量36キロワットのカーポート型太陽光発電設備を新たに導入する。同設備は協和ホールディングス株式会社が施工を担当し、2026年7月の稼働開始を予定している。年間約4万5390キロワット時の発電量、年間18.8トンの二酸化炭素(CO2)排出量の削減を見込む。

 これにより、駐車場上部を発電面に転用し、雨天時の利便性向上や夏季における熱負荷の低減につなげるとする。また、災害時の非常用電源として活用するほか、オンサイト化することで送配電ロスを抑制するとしている。

 東急不動産は同工場を「次世代グリーン技術実証拠点」と位置づけ、エネルギーマネジメントシステム(EMS)と組み合わせた最適運用を確立していく方針である。  

 同社は、2014年に再エネ事業を開始し、2026年3月末時点で開発中の事業を含め全国153件、定格容量2072MWの事業を展開している。これまで、物流倉庫といった施設の屋根上を活用した太陽光発電事業を運営していたが、荷重に制限のある施設の屋根には既存の重い太陽光パネルを設置することが難しかった。そこで、今回、軽量なカルコパイライト太陽電池を採用し、既設建物の壁面に設置することにしたという。

 東急不動産によると、気候変動による生育環境の変化や、日本の食料自給率の低さを背景に、天候に左右されず安定した農業が可能な植物工場のニーズが高まっている。一方で、近年の建築コスト高騰などを背景に、新築施設の供給が進んでいない。さらに、完全人工光型の植物工場は電力使用量が多く、電気代が高騰する中、運営コストが課題になっている。


注1:カルコパイライト太陽電池:銅・インジウム・ガリウム・セレンなどの化合物半導体を用いた薄膜型の次世代太陽電池。薄く、軽く、曲がるという特徴がある。

参考サイト

東急不動産株式会社 ニュースリリース 2026年5月26日、「国内初 建物壁面への「カルコパイライト太陽電池」設置」

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