AI/IoTプラットフォーム「SORACOM」がJR九州の「鉄道車両データ分析基盤」に採用!―内製化による車両データの本格活用を短期間で実現―

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2026年6月3日 (水曜) 17:02

 株式会社ソラコム(以下、ソラコム)のAI/IoTプラットフォーム「SORACOM」が、九州旅客鉄道株式会社(以下、JR九州。写真1)が構築を進めている「鉄道車両データ分析基盤」に採用された。
 今後JR九州は、同基盤に蓄積された車両データの分析をさらに進め、メンテナンス領域にとどまらない鉄道業務全般におけるデータ利活用の拡大を目指す。

写真1 JR九州の813系近郊形交流電車

車両データ分析基盤システムを内製で構築

 JR九州の鉄道車両データ分析基盤(以下、データ分析基盤とする)は、空調やドア、電力装置といった車両関連装置の稼働データを常時収集し、分析・処理するためのシステムである。同社はこの構築において、外部ベンダに委託するのではなく、クラウドへのつなぎ込みまで含めたシステム全体を自社グループ内で内製するアプローチをとっている。
 2026年4月28日のソラコムの発表によると、AI/IoTプラットフォーム「SORACOM」(図1)が採用された。
 同プラットフォームは、IoTシステムの構築・運用に必要な通信、デバイスやアプリケーション、クラウド連携などをワンストップで提供する。各種センサーやスマートメーター、車載カメラといったIoT機器のデータ送受信に特化して設計されており、最小1回線・1日からの手軽な導入が可能で、スモールスタートから大規模運用まで柔軟に対応できる点が特徴だ。

図1 AI/IoTフラットフォーム基盤「SORACOM」の概要

出所 株式会社ソラコム提供

SORACOMで車両データを常時ストリーミング

 JR九州は、ソラコムのIoTデバイス向けデータ通信用SIMカード「SORACOM IoT SIM」注1とIoTゲートウェイを既存の車両に後付けし、車両関連装置のデータをセルラー通信経由でクラウド(AWS:Amazon Web Services)上のデータストア(データ記憶装置)へ常時ストリーミングする仕組みを構築した。
 従来は、車両にセンサーは搭載していたものの、データの取得は担当者が現地で確認するタイミングに限られていたため、データの蓄積や分析が進みにくいという課題があった。そこで同社では約2年前から、限られた人員で品質を向上させるべく、車両データをビッグデータとして継続的に活用する取り組みを本格化。
従来の「時間基準保全」(TBM)注2から、故障予兆を捉えて最適なタイミングでメンテナンスを行う「状態基準保全」(CBM)注3による、次世代の車両メンテナンス体制の実現を目指してきた。
 データストアに蓄積されたデータは同分析基盤で処理され、機器の常時モニタリングや故障予兆の検知に活用するなど、CBM実現に向けた基盤を整えている。


注1:SORACOM IoT SIM:株式会社ソラコムがIoT/M2M機器に特化して設計したデータ通信用SIM(Subscriber Identity Module 、加入者識別モジュール)。
注2:TBM:Time Based Maintenance、時間基準保全。使用時間や期間、稼働時間を基準に行う定期的な保全手法。定期保全とも呼ばれる。
注3:CBM:Condition Based Maintenance、状態基準保全。機器や設備の状態を継続的に監視・計測し、劣化等の兆候を把握したうえで最適なタイミングで行う保全手法。

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