薄型軽量太陽光パネルと複合PPAで荷重・余剰電力の課題を解決、三井ホーム
CO2排出量を約506トン削減へ10:29
薄型軽量太陽光パネルを活用したオンサイト・バーチャルPPAの複合スキーム導入
三井ホーム株式会社(以下、三井ホーム)は、薄型軽量太陽光パネルを活用したオンサイトPPA注1とバーチャルPPA注2を組み合わせた国内初という複合スキームを導入するための契約を、東京ガス株式会社(以下、東京ガス)と締結した(図1)。太陽光パネルを工場に設置する上で課題となる、屋根面の耐荷重制約と余剰電力の活用の解消につなげるという。両社が2025年11月27日に発表した。
耐荷重と余剰電力活用の課題を解決
工場などの広大な屋根面は、再エネ導入の大きなポテンシャルがあるものの、建物の耐荷重制約や、発電した電力が工場の電力需要を上回った場合の余剰電力の活用に関する課題がある。
今回のスキームでは、東京ガスが同社のオンサイトPPAサービス「ヒナタオソーラー」注3を通じ、三井ホーム埼玉工場の屋根に約1MWの薄型軽量太陽光パネルを設置し、同設備で発電した電力を埼玉工場にグリーン電力注4として供給する。従来製品と比較して重量を約40%に軽減した薄型軽量太陽光パネルを採用することで、三井ホーム埼玉工場の屋根全面への設置を可能にしたとする(図2)。
余剰電力は市場へ売電するとともに、その追加性注5のある環境価値を環境証書の形で三井ホームに提供する(バーチャルPPA)。三井ホームは、環境証書を千葉や関西の同社工場で活用する。
発電開始時期は2027年3月の予定で、このスキームにより、三井ホームは、年間約1170MWhの再生可能エネルギーを利用し、CO2排出量を約506トン削減すると見込んでおり、これは三井ホームが国内に保有する全工場のCO2排出量の44%に相当するという。
注1:オンサイトPPA(Power Purchase Agreement)モデル:発電事業者が需要家の敷地内に発電設備を設置・所有・維持管理し、発電した電気を需要家に供給する仕組み。「第三者所有モデル」とも呼ばれる。
注2:バーチャルPPA:再生可能エネルギー発電事業者から電力供給を受けることなく、環境価値(環境証書など)を購入する契約形態を指す。
注3:ヒナタオソーラー:東京ガスが展開する法人向けオンサイトPPAサービス名。薄型軽量太陽光発電パネルと独自の施工法により、構造・形状による設置課題を解決する。
注4:グリーン電力:再生可能エネルギーから生成された電力のこと。本件では太陽光発電設備により発電された電力を指す。
注5:追加性:地球上に再生可能エネルギー発電設備を新設すること。新たな設備投資を促進し、脱炭素実現に貢献する効果が見込まれる。