カーボンニュートラル/脱炭素
[ニュース]

大手初の生涯CO2収支ゼロの住宅、旭化成ホームズが発売

オーナーからの再エネ電力を環境価値に活用
2025/09/09
(火)

ライフサイクル全体のCO2排出量を実質ゼロにする戸建

 旭化成ホームズ株式会社(以下、旭化成ホームズ)は、建設から廃棄までのライフサイクル全体の二酸化炭素(CO2)の排出量を収支で実質ゼロにすることを目指す戸建て「earth-tect(アーステクト)」を発売した(図1)。自社製品のオーナーから買い取った再生可能エネルギー電力由来の環境価値(非化石証書)を活用するのが特徴で、大手ハウスメーカーでは国内初の取り組みとなる。2025年9月5日に発表した。

図1 旭化成ホームズの「earth-tect」外観イメージ

出所 旭化成ホームズ株式会社 プレスリリース 2025年9月5日、「国内大手ハウスメーカー初自社製品由来の再エネ電力並びに環境価値を活用し住宅の生涯CO2収支ゼロを目指す戸建住宅新商品「earth-tect(アーステクト)」を発売」

顧客からの再エネでCO2排出量を相殺

 「earth-tect」は、住宅の建設から居住中、そして解体・廃棄に至るまでのライフサイクル全段階で排出されるCO2を60年間かけて相殺し、実質ゼロを目指す。

 具体的には、まず建材の製造や建設時に排出される「エンボディドカーボン」を算出する。この排出分を、同社が顧客の屋根を借りて設置した太陽光発電から得た非化石証書などの環境価値を充当することで相殺する計画。さらに、居住中に消費するエネルギーに伴い排出される「オペレーショナルカーボン」については、earth-tectの顧客に実質再生可能エネルギーの電力を20年間供給することで削減を図る。

 実質再生可能エネルギー電力は、同社の電力サービス「ヘーベル電気」を通じて、既存のヘーベルハウスオーナーで固定価格買取制度(FIT)の期間が満了した顧客から太陽光発電の余剰電力を買い取る。この電力の環境価値(非化石証書)を分離し、earth-tectの顧客に供給する電力と組み合わせることで、実質再生可能エネルギー電力として提供する。供給期間は20年間で、料金は通常の電力価格と同額。将来に、earth-tectも供給側になることを想定している(図2)。

図2 再生可能エネルギー電力の循環システムイメージ

出所 旭化成ホームズ株式会社 プレスリリース 2025年9月5日、「国内大手ハウスメーカー初自社製品由来の再エネ電力並びに環境価値を活用し住宅の生涯CO2収支ゼロを目指す戸建住宅新商品「earth-tect(アーステクト)」を発売」

 また、60年という長期の目標達成には、住宅自体の高い環境性能が不可欠であるとする。そのため、earth-tectは、外壁材「ALCコンクリート・へーベル」と高性能断熱材「ネオマフォーム」による二重断熱構造などを採用し、高い断熱性能を長期にわたり維持するという。加えて、太陽光発電の余剰電力を活用する給湯器「おひさまエコキュート」や大型蓄電池などを標準搭載し、エネルギーの自家消費率を高め、日常的なCO2排出の抑制へとつなげる。

 さらに、オーナー専用アプリ「EcoゾウさんClub+」に専用ページを設け、邸別のCO2削減効果を算出・可視化する機能を提供する。

 販売地域は関東、東海、関西、山陽の一部、九州北部で、年間200棟の販売を目標としている。


参考サイト

旭化成ホームズ株式会社 プレスリリース 2025年9月5日、「国内大手ハウスメーカー初自社製品由来の再エネ電力並びに環境価値を活用し住宅の生涯CO2収支ゼロを目指す戸建住宅新商品「earth-tect(アーステクト)」を発売」

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