CO2から航空燃料を直接合成、IHIが成功

専門機関が国際規格を満たすことを確認

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2026年1月9日 (金曜) 14:50

CO2と水素を原料にSAF合成

 株式会社IHI(以下、IHI)は、CO2と水素を原料とした持続可能な航空燃料(SAF)を、試験装置規模で合成することに成功した(図1)。合成した燃料は、米ワシントン州立大学による評価で、航空機用代替ジェット燃料として優れた特性を有していることが確認されたという。2026年1月9日に発表した。

図1 IHIは試験装置でのCO2と水素を原料とした持続可能な航空燃料(SAF)の合成に成功した

新触媒の活用により世界トップレベルの性能を確認

 今回合成に成功したSAFは、独自開発の触媒を用いてCO2と水素から液体炭化水素を直接生成する新しいプロセスによって製造した(図2)。この燃料サンプルは、米国の連邦航空局(FAA)などの支援を受けるワシントン州立大学で特性評価を受け、航空機用代替ジェット燃料として極めて良好な結果を得たとする。

図2 CO2と水素から合成した液体炭化水素(左)と改質後の航空燃料サンプル(右)

 ワシントン州立大学のバイオプロダクト科学・工学研究所であるジョシュア・ヘイン 所長は、「初期段階のSAF候補に求められるすべての試験特性を満たした」とコメントした。特に、寒冷環境下での運用に不可欠な「低温流動特性(粘性など)」や、燃費に直結する「炭化水素組成」で高い性能が確認されているとする。これにより、飛行中の寒冷環境での運用に必要な基準を十分に満たし、燃料の密度や燃費特性でも優れていることが示されたとしている。

 開発は、2022年からシンガポール科学技術研究庁傘下のISCE²(以下、ISCE²)注1と共同で開始した。ラボ試験で触媒が世界トップレベルの性能であることを確認したという。2025年9月からはIHIがISCE²内に設置した試験装置を用いて、合成試験を実施してきた。

 今後は、新合成法の商用化に向け、製造されたSAFをジェット燃料として利用するために不可欠な国際規格「ASTM認証注2」の取得を目指す。


注1:ISCE²(Institute of Sustainability for Chemicals, Energy and Environment):シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)傘下の研究機関。低炭素技術や持続可能な材料の研究開発を行う。 
注2:ASTM認証:ASTM Internationalが定める航空機用代替ジェット燃料に関する規格(ASTM D7566)。

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