水素タンクと燃料電池を一体化した移動式電源、竹中工務店らが開発
低振動・低騒音・無臭で人口密集地や夜間に活用可能2026年1月13日 (火曜) 16:56
水素タンクと燃料電池を組み合わせた牽引式水素発電装置を開発
株式会社竹中工務店(以下、竹中工務店)、那須電機鉄工株式会社(以下、那須電機鉄工)、日本フイルコン株式会社(以下、日本フイルコン)の3社は、水素タンクと燃料電池を一体化した牽引式の水素発電装置を開発した(図1)。建設現場や被災地、イベント会場で用途を想定し、水素を燃料にCO2をほぼ排出せずに発電するという。2026年1月13日に発表した。
太陽光発電を併用し20kWhを供給
3社が開発した水素発電装置は、小型軽量の水素吸蔵合金タンク、燃料電池、太陽光発電装置、蓄電池を1つのシステムに組み合わせたもの(図2)。装置の外形寸法は全長4570mm、全幅2220mm、全高2460mm、総重量は約1000kgとなっており、車両での牽引が可能である。
供給能力は、AC出力3.6kWを確保しており、太陽光発電を併用し400Wを消費する条件下では、一般家庭約2日分に相当する約20kWhの電力を供給する。
燃料電池単体での発電継続時間は約16時間であるが、搭載されている水素吸蔵合金タンクの交換作業は1人あたり約10分で完了するため、予備タンクを活用することで長期間の継続稼働にも対応する(図3)。また、8.1kWhの蓄電池を内蔵することで、負荷変動や天候に左右されない安定的な電源システムを構築しているとする。
水素を燃料にする燃料電池を採用することで、発電時のCO2排出量をほぼゼロに抑えられるほか、従来のディーゼル発電機と比較して低騒音、低振動、かつ無臭である。このため、騒音規制の厳しい都市部や夜間の建設現場、あるいは排気ガスが敬遠されるイベント会場や災害時の避難所で活用に適しているとする。
さらに、使用されている水素吸蔵合金タンクは高圧ガス保安法や消防法の規制対象外であり、安全性が高く取り扱いが容易であるという(図4)。
燃料電池を建設現場などで活用するためには、安全な水素貯蔵、配送技術が必要である。そこで、竹中工務店と那須電機鉄工は、安全に水素を貯蔵、運搬できる技術として水素吸蔵合金に着目し、水素吸蔵合金タンクを開発した。
一方、水素タンクと燃料電池を組み合わせて活用するためには、現場でガス配管の接続、各システム間の連動性、パーツ類の輸送などを行う必要があり、課題になっていた。この課題を解決するため、燃料電池システムを開発・販売する日本フイルコンと協業した。
装置の開発にあたり、竹中工務店が全体システム計画、車体設計・製作、性能評価、実証を担当し、那須電機鉄工が水素吸蔵合金タンクシステムを小型化した。日本フイルコンが燃料電池システムの小型化とシステム間の連携を担当した。
今後、竹中工務店の建設現場での実証や企業・自治体との連携した実証を予定している。実証を通じ、装置の仕様を絞り込むとともに、商品化を検討する。また、竹中工務店は、グリーン水素製造充填拠点や水素配送網の整備など、社会インフラの構築に向けて、新たな協業パートナーと連携を進める。