トヨタ、水素車に世界初の超電導技術 富士24時間レースへ

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2026年6月5日 (金曜) 15:18

世界初の超電導液体水素ポンプ搭載車をレース投入

 トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)は、世界初となる「超電導液体水素ポンプ」を搭載した水素エンジン車をレースに実戦投入する(写真1)。過酷な環境下で新技術の性能と耐久性を検証する。2026年6月5日に発表した。

写真1 今回のレースには水素エンジンGRカローラに超電導液体水素ポンプを搭載し出走させる

出所 トヨタ自動車株式会社 ニュースリリース 2026年6月5日、「水素エンジンGRカローラ S耐富士24時間で未来へ向けて世界初の挑戦へ」

超電導技術で水素搭載量や運動性能を向上

  トヨタは、2026年6月5日~6日に富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催される「ENEOS スーパー耐久シリーズ 2026 Empowered by BRIDGESTONE 第3戦 NAPAC富士24時間レース」に、同社の車両「#32 TGRR GR Corolla H2 concept(以下、水素エンジンGRカローラ)」を出走させる。

 これまで、将来、市販車両に水素エンジンを応用する目的で、水素エンジンGRカローラの技術開発を進めてきた。具体的には、燃料を気体水素から液体水素に変える取り組みや、高出力と低燃費を両立させる燃焼技術、最大出力での連続走行を可能にする耐久力のあるポンプ、水素を速く安全に充填するための技術がある。

 今回、レースに出走する車両には、燃料タンクからエンジンへ液体水素を圧送するポンプの動力に、従来の電動モーターに代わって超電導モーターを世界で初めて採用した。

 超電導は極低温下でのみ生じる現象注1であり、マイナス253度という液体水素の環境を直接的に活用できる。超電導モーターの採用より、従来タンク上部に設置されていたモーターユニットをすべて液体水素が封入されたタンクの内部に収容できるようなった。

 この省スペース化により、2025年のレース最終戦時点で220リットルであったタンク容量が最大300リットルへと1.3倍以上に拡大した。さらに、重量物であるモーターユニットの配置が下部に移動したことで車両の低重心化が図られ、運動性能の向上も期待できるという(図1)。

図1 超電導技術のメリット

出所 トヨタ自動車株式会社 ニュースリリース 2026年6月5日、「水素エンジンGRカローラ S耐富士24時間で未来へ向けて世界初の挑戦へ」

 さらに、超電導液体水素ポンプの搭載に加え、水素エンジンと「Direct Automatic Transmission(以下、DAT)」を初めて組み合わせた。DATの導入により、ドライバーはシフト操作に気を取られず運転に集中できるようになるという。トヨタはマニュアルトランスミッションと同等の競争力を持つオートマチックトランスミッションの開発を進めており、世界トップレベルの変速スピードを目指している。


注1:超電導:特定の物質を極低温に冷却した際に、電気抵抗がゼロになる現象。

参考サイト

トヨタ自動車株式会社 ニュースリリース 2026年6月5日、「水素エンジンGRカローラ S耐富士24時間で未来へ向けて世界初の挑戦へ」
 

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