「第7次エネルギー基本計画」に明記:国家計画への格上げで予算・制度の追い風
「第7次エネルギー基本計画」に明記:国家計画への格上げで予算・制度の追い風
2025年2月、日本の中長期エネルギー政策の基本方針となる「第7次エネルギー基本計画」が閣議決定された。この中で、ペロブスカイト太陽電池が国家計画の1つとして明確に位置付けられた。計画に明記された主な目標は次の通りである。
■導入量 : 2040年に国内20GW
■発電コスト : 2025年に20円/kWh → 2030年に14円/kWh → 2040年に10~14円/kWh以下
■生産体制 : 2030年を待たずにGW級の量産体制を構築
■公共調達 : 公共部門が初期需要を牽引する方針も明示
この閣議決定により、予算措置、補助制度、規制緩和のすべてにわたり政策展開の法的根拠が生まれ、その後に続く補助事業・規制緩和・実証採択・数値目標の決定を動かす根拠となった。
第7次エネルギー基本計画は、官民協議会の合意内容を国家計画として採用・追認したものだ。基本計画に明記されたことで、予算・人員・省庁間調整の面で政策実施の優先度が高まった。また、2040年に20GWという目標が国家計画として公表されたことは、製造事業者による投資判断の重要な目安となりうる。
さらに、自治体レベルでも具体的な動きが出始めている。東京都は2035年1GW、2040年2GWの独自目標と設置費用の全額補助を掲げた。国の20GW目標に対して、東京都だけで2GWを担う計算となる。
「政府実行計画」を改定:9万kWの試算を基に実効性ある目標へ
〔1〕政府実行計画の2つのポイント(最大導入と率先明記)
第7次エネルギー基本計画の閣議決定と同日の2025年2月18日、「政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の削減等のため実行すべき措置について定める計画」(以下、政府実行計画)」も改定された注4。国の機関自身が温室効果ガスの削減に取り組むための行動計画であるこの文書の「第四(措置の内容)」に、ペロブスカイト太陽電池に関する記述が新たに加えられた。この次世代型太陽電池の社会実装を、まず国が率先して行うことが明記されたのだ。
その骨子は次の2点である。
第1に、政府が保有する建築物・土地について、太陽光をはじめとした再生可能エネルギー(以下、再エネ)の最大限の導入を率先して計画的に実施する。
第2に、ペロブスカイト太陽電池については「耐荷重性の低い屋根や建物の壁面等への導入が可能」として政府施設への率先導入を明示する。
ただし、この時点での具体的な数値目標は「社会実装の状況(生産体制、施工方法の確立等)を踏まえながら検討していく」とされていた。
この政府実行計画を支えたのが、先述した環境省の連絡会議であり、政府実行計画の改定を受けてペロブスカイトの導入目標の具体化を本格的に担うことになった。そして、2026年6月18日の政府による率先導入目標の承認へとつながっていく。
〔2〕ポテンシャル調査の実施と導入支援事業(補助金50.2億円)の開始
目標を具体化するにあたり、環境省は各府省庁が保有する施設を対象に設置ポテンシャルの調査(フォローアップ調査)を実施した。
屋根については、耐震・積雪・電力使用状況・日陰の有無等による簡易判定を行い、設置可能性のある施設の空きスペース面積を集計。外壁・窓については、延べ床面積に設置可能な面積の算定係数と設置密度を乗じて推計した。その結果示されたのが、合計約9万kWという試算値である。
加えて社会実装の支援策として、環境省が経済産業省と連携し「ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業」を開始している。
2025年度予算額は50.2億円(新規)で、補助対象は耐荷重10kg/㎡以下の屋根・壁面などへの導入となっている。2026年3月時点での採択実績は5件となっている(表3)。このように製造補助と導入補助を並行させることで、コスト低減と需要拡大の好循環の形成を進めることが目的だ。



