国内での量産化推進:GX支援事業によるGW級生産体制の整備

国内での量産化推進:GX支援事業によるGW級生産体制の整備

  「2030年を待たずにGW級の量産体制を構築する」(第7次エネルギー基本計画)という目標については、経済産業省の「GX(グリーントランスフォーメーション)サプライチェーン構築支援事業」が大きな後押しとなっている。
 この支援事業は、水電解装置や浮体式洋上風力など複数のGX分野を対象とする大型補助事業で、ペロブスカイト太陽電池はその主要対象分野の1つに位置付けられている。国庫債務負担行為を含む総額1,460億円(2025年度予算610億円)を投じ、民間単独では困難な大規模設備投資を国が最大半額補助する仕組みだ。ペロブスカイト関連では、2024年末に次の2社が採択された。
 1社目は積水化学工業で、新会社「積水ソーラーフィルム株式会社」を設立し、シャープ旧堺工場(大阪府堺市、延床面積21万㎡・5階建て)にフィルム型ペロブスカイト太陽電池の製造ラインを構築する(補助対象経費:約3,145億円、補助金交付額:約1,573億円)。2027年度に100MW級ラインを稼働させ、2030年までにGW級へ拡張する計画だ。製造方式には、ロール・トゥ・ロール(R2R:Roll to Roll)による連続生産を採用する(図2、図3)。

図2 GXサプライチェーン構築支援事業:積水化学工業 堺工場と売り上げ計画

図3 ペロブスカイト太陽電池の生産工程(R2R方式)

 2社目は製造装置メーカーの片岡製作所(京都府京都市)で、補助対象経費は約68.7億円、補助金交付額は約34.4億円。京都に工場を増設し、2029年度中に年間500MW程度の装置生産・出荷体制を確立する計画である(図4)。加えて2025年度には、三星ダイヤモンド工業(大阪府摂津市)も同種の装置メーカーとして採択され、国内での装置供給体制の拡充が進んでいる。

 

図4 GXサプライチェーン構築支援事業:株式会社片岡製作所 ペロブスカイト太陽電池レーザパターニング装置

 このように完成品メーカーと製造装置メーカーを同時に支援する構造は、かつてシリコン型太陽電池において製造装置の海外依存が技術流出につながった教訓を踏まえたものだ。さらに、原材料であるヨウ素やフィルム基材、耐久性を高める封止材といった素材・部材についても、「サプライチェーン全体の国内強靱化」が戦略方針として明確に打ち出されている。

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