運用・信頼性担保編(項目7~9):透明性と品質保証の要件

運用・信頼性担保編(項目7~9):透明性と品質保証の要件

 ペロブスカイトPVモジュールの製品品質・安全性を担保する総合評価プログラム(前述の「項目6」)を踏まえて、情報開示、サンプルの公正性、試験機関の認証といった「運用の信頼性」を確保するための要件を定めている。

【項目7 表示及び文書類】ユーザーへの情報開示と記載ルールの厳格化
 製品本体の銘板や付属マニュアルの記載ルールを定める。「IEC 61730-1 6.2」の標準項目に加え、紙媒体提供時もWebで情報取得できるよう銘板へのQRコード等の配置を求めている。また、ペロブスカイト特有の仕様として次の(1)~(4)の情報の記載を義務付けている。
(1)モジュール仕様
 最小曲率半径や製品区分(フレキシブルPVモジュール、超フレキシブルPVモジュール、ベンダブルPVモジュール)の明記。
(2)重量および外形寸法
 取り付けに使用するジグ(治具)注4や附属品を除いた重量と外径寸法について、①フレーム・端子箱を含めた場合〔図3(a)参照〕、②受光面を構成する部材だけとした場合〔図3(b)参照〕の両方の値を記載する。
(3)モジュール変換効率
 ①外径寸法〔図3(a)参照〕面積で算出した値、②実際の発電部寸法〔図3(a)または図3(b)参照〕面積で算出した値、の両方の面積で算出した値を併記する。
(4)環境負荷物質
 PVモジュールに含まれる環境負荷が懸念される化学物質(鉛、カドミウム、ヒ素、セレン)の種類と、単位面積(1㎡)当たりの含有量(例:鉛 0.2g/㎡未満)。なお、含まれない物質については記載を要しない。

 

図3 PV モジュールおよび受光面を構成する部材の概略図

 

【項目8 サンプリング】|不正を防ぐ第三者によるランダム抽出
 メーカーが試験用に特別に作成した製品を提出する不正を防ぐため、「JIS C 61215-1」に基づき、第三者試験機関が製造ラインからランダム(任意)に供試体(サンプル)を抜き取ることを義務付ける。なお、抽出した個体情報は試験報告書に明記することも義務付けている。
【項目9 試験の実施】国内認証機関(NCB)による厳格なデータ担保
 試験データの公正性と精度を保持するため、試験は原則として日本国内の認証機関(NCB:National Certification Body)が実施することと定めている(なお、今後、試験機関の拡大を検討)。

 最後に、付属書A(参考)として、試験シーケンス用のペロブスカイトPVモジュール識別子について表10のように示している。

 

表10 試験シーケンス用 PV モジュール識別子〔附属書A(参考)〕

社会実装に向けた「確かな物差し」の確立

 JEMAの「ペロブスカイト太陽電池の業界ガイドライン 2026版」の制定によって、開発事業者から施工業者、導入を検討する需要家に至るまで、全員が同じ「品質および安全の物差し」に基づいて製品の性能や安全性を正しく判断・選定できる環境が整った。
 同ガイドラインの策定は、ペロブスカイト太陽電池の今後の市場形成と安全な社会実装に向けた大きな一歩になる。

(特集 第2部に続く)


注4:ジグ(治具):部品の位置決めや固定を行い、作業を補助するための器具。

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