≪2≫PCM(Pulse Code Modulation、パルス符号変調)の仕組み
≪2≫PCM(Pulse Code Modulation、パルス符号変調)の仕組み
次に、図1-5に示す例でアナログの音声信号をデジタルの音声信号に変換する仕組みを、具体的に説明しましょう。アナログ画像信号の場合の変換も、基本的な原理は同じです。
ここで説明する「アナログ信号をデジタル信号に変換する仕組み」は、PCM(Pulse Code Modulation、パルス符号変調)と言われ、圧縮は一切行われていませんので、デジタル化された音声(あるいは画像)は、圧縮前の元のアナログ音声(あるいは画像)に完全に復元される仕組みになっています。このように、完全に復元されるので、これを、
「アナログ音声(あるいは画像)と非圧縮の(PCM)デジタル音声(あるいは画像)は実効的に等価である」
と言います〔つまり、アナログ音声(画像)=非圧縮PCMデジタル音声(画像)〕。
[1]「標本化(サンプリング)」とは?
PCMでは、まず入力されてきたある帯域のアナログ信号〔図1-5(その1)〕の周波数(例:固定電話のアナログ音声信号の周波数は最大3.4kHz≒4kHz)をデジタル化する場合には、まず、その帯域の2倍以上の周波数(標本化周波数という。この例では4kHz×2=8kHz)で標本化(サンプリングという)することが必要になります。
このような操作をする理由は、2倍以上の周波数によって標本化すると、デジタル化した信号を元の連続的なアナログ信号に完全に復元できることがわかっているからです。これは、「シャノン(Shannon)-染谷の標本化定理」あるいは「サンプリング定理」と呼ばれ、また「ナイキスト(Nyquist)の定理」と呼ばれることもあります。
ここで、サンプリングとは、あるアナログ情報(ここではアナログの音声情報)のサンプルをとるという意味です。例えば、前述のように標本化周波数が8kHzの場合は、1÷8kHz=125μsごとに定期的にサンプル(標本:電圧や電流の標本値)を取り出すことになります。すなわち、この場合は1秒間に8000個のサンプルをとることになります〔図1-5(その2)の(2)〕。
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