ロボット革命イニシアティブ協議会のビジョンとIVI
写真4 ロボット革命イニシアティブ協議会
事務局長
久保智彰氏
次に、設立されたばかりの「ロボット革命イニシアティブ協議会」注5事務局長の久保智彰氏(写真4)によって、「ロボット革命イニシアティブ協議会のビジョンとIVIへの期待」をテーマに招待講演が行われた。
「ロボット革命」の背景と考え方について、現在、日本は産業用ロボットの年間出荷額、国内稼働台数とも世界一であり、まさに「ロボット大国」である。しかし、日本の現状は少子高齢化社会を迎える一方で、工場におけるインフラの老朽化も進んでおり、今後は、ロボットへの期待が大きい「課題先進国」でもある。
このような背景のもとに、欧米は、デジタル化・ネットワーク化を用いた新たな生産システム(例:Industrie 4.0、IIC)を成長のカギとして位置づけ、巻き返しを図ってきている。さらに、中国などの新興国はロボット投資を加速させており、例えば、ロボットの年間導入台数では、日本と中国では逆転現象も起こっている。
このようななかで、IoT時代のロボットで世界をリードするには、製造業分野においても、IoTと融合し、大量に発生するビッグデータやネットワーク、人工知能(AI)を使いこなせるロボットの開発が求められている。
図4 ロボット革命イニシアティブ協議会のWG(ワーキンググループ)計画
〔出所 ロボット革命イニシアティブ協議会「ロボット革命イニシアティブ協議会のビジョンとIVIへの期待」、2015年6月18日〕
これらを実現するため、具体的には、ロボット革命イニシアティブ協議会に、図4に示す3つのWG(ワーキンググループ)を設置し、対応していく。さらに、久保事務局長は、ロボット革命イニシアティブ協議会WGとIVIとの連携案(図5)を示し、「今後両者の課題認識を共通化させ、議論を深めるには、リアリティのある、具体的なユースケース(事例)を描くことが必須である」と考えており、「この作業をIVIと協働していきたい」と語った。
図5 ロボット革命イニシアティブ協議会とIVIの連携案
〔出所 ロボット革命イニシアティブ協議会「ロボット革命イニシアティブ協議会のビジョンと IVIへの期待」、2015年6月18日〕
「つながる工場」業務シナリオの8つの報告
久保事務局長の招待講演に続いて、日本機械学会の「つながる工場」研究分科会の活動の流れを汲む8つのWG(ワーキンググループ)から、表2に示すように、具体的なものづくり現場からの『「つながる工場」業務シナリオ』の報告が行われた。
表2 各WGが取り組む「つながる工場」業務シナリオの報告
MES(エムイーエス):Manufacturing Execution System、製造実行システム(工程管理システム)。製造現場の生産活動において、製品の品質やコスト、納期を改善するため、現場の情報を収集し、評価・分析を通じて生産の最大化をめざすシステム。
〔出所 「IVI設立記念大会(設立総会)」(2015年6月8日)などの資料をもとに作成〕
▼ 注5
ロボット革命イニシアティブ協議会:Robot Revolution Initiative(RRI)、2015年5月設立。
「ロボット革命イニシアティブ協議会」の設立について http://www.jmf.or.jp/content/files/rob_kyougikai/robpress.pdf