[トピックス]

2030年までのエネルギー政策

─定まらず疑問残る政府の方針─
2012/11/01
(木)
SmartGridニューズレター編集部

2012年9月14日、政府は新しく「革新的エネルギー・環境戦略」を発表した。この戦略は、(1)原発に依存しない社会の一日も早い実現、(2)グリーンエネルギー革命の実現、(3)エネルギーの安定供給、の3本柱を掲げている。さらにこれらを実現するため「電力システム改革」を断行するとし、市場独占の解放や発送電分離などによるエネルギー需給の仕組みを抜本的に改め、国民が主役となるシステムを構築するとしている。

特に2030年代に原発稼働ゼロを目指す(1)については、原発の運転期間を40年に制限し、原発の新設・増設を行わないとしている。その一方で、核燃サイクルの当面維持と、安全性を確認したうえでの原発再稼働を容認するとの方針も打ち出し、矛盾する内容となっている。(2)については、ITや蓄電池を活用した国民主役のスマートな省エネ・節電を掲げ、次世代自動車やスマートメーター、HEMS、BEMSの導入、見える化やデマンドレスポンスの展開、スマートコミュニティの構築などを挙げている(拡大イメージ図参照)。また再生可能エネルギーは、2030年までに2010年の1100億kWhから約3倍の3000億kWhの開発を実現するとしているが、電気料金の値上げ等コスト面の検証はなされておらず、その実現性に疑問が残る。

翌15日には大間原発や島根原発の建設再開・稼働が容認され、さらに19日の閣議決定でも、「関係自治体や国際社会等と責任ある議論を行い、……柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」とし、「原発ゼロ」については盛り込まれなかった。将来のエネルギー政策は、戦略発表直後から方針が揺れている。
 

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