[プロダクト]

電力自由化時代の「MaLion BEMSクラウドサービス」の展開

─ 国際標準IEEE 1888対応のオープンなBEMS ─
2014/05/01
(木)

通信ソフトベンダのインターコムは、すでに1,000社以上に普及している同社のベストセラーソフト「MaLion」(マリオン)を、国際標準IEEE 1888に対応させた「MaLion BEMSクラウドサービス」(略称:MaLion BEMS)を開発し、注目されている。これによって「MaLion」は、IT資産管理と情報漏えい防止(セキュリティ)に関する統合管理ソフトから、さらにオープンなBEMSソフトへ進化させることに成功。新築・既設ビルをはじめ、ビルのテナントも含めた省エネ管理や、機器別の電力使用量などの見える化機能も実現させ、電力自由化時代のツール(ソフト)として期待が高まっている。なお、本記事は、株式会社インターコム 取締役 松原由高氏への取材をベースにまとめたものである。

MaLion BEMSクラウドサービス

インターコム〔設立:1982年(昭和57年)6月〕のMaLion BEMSクラウドサービスとは、主に中小規模ビルやテナント企業をターゲットにして、その会社の総務担当者でも容易に使用できるようにした「省エネ管理」を継続的に提供するサービスである。

MaLion BEMS(Buildingではなく、あえてBusiness Energy Management Servi-ce)とは、電力使用量の運用改善を繰り返し継続することによって、電力使用量の削減を支援するクラウドサービスである。

ここで運用改善とは、

  1. 現状の消費電力等を把握(CHECK)することに始まり、
  2. 電力ピークを分析し、ピークシフト対策など節電に向けた改善策(ACT)を選定し、
  3. 省エネに向けた改善策を踏まえ、節電目標の設定と運用ポリシーを設定(PLAN)し、
  4. その運用ポリシーに基づいて計画を実行(DO)する、

というCAPDサイクル(図1)を実行し、電力使用量の削減を行うことである。

図1 CAPDサイクルによる電力使用量の運用改善図1 CAPDサイクルによる電力使用量の運用改善
〔出所 インターコム〕

インターコムは、長年にわたって開発し提供してきた同社のベストセラーソフト「MaLion」(現在のバージョンはMaLion 4)を進化・発展させるため、東京大学のICTプロジェクト(GUTP)に参加した。

このGUTP(Green University of Tokyo Project、東大グリーンICTプロジェクト)は、2011年の東日本大震災によって引き起こされた東京電力の福島第一原子力発電所の事故によって発生した電力危機に際して、2011年夏に全学で30%の電力削減を行うなど先進的な役割を果たしたプロジェクトである。GUTPには、NTTやKDDIをはじめ日立製作所、富士通、東芝、鹿島建設、ダイキン、シスコシステムズ、三井不動産など約75社が参加している。

このGUTPによって、現在、実証が行われている東京大学の研究棟において、電力の見える化の実証試験を重ねた結果、MaLion BEMSは、図2の見える化画面に示すような、東京大学工学部のどの研究室で、どれだけの電力が使用されているかを、簡単に表示する運用管理画面(コンソール)用のツール(ソフト)として採用されることになった。

図2 GUTP(東大グリーンICTプロジェクト)に研究棟の電力を見える化画面の例図2 GUTP(東大グリーンICTプロジェクト)に研究棟の電力を見える化画面の例
〔出所 インターコム〕


▼ 注1
「IEEE 1888」とは、2011年2月にIEEEで標準化された、IP上で動作するスマートグリッド用のオープンなマルチベンダプロトコルである。東京大学や中国の清華大学、北京インターネット研究所(BII)が中心となって提案し、「IEEE 1888」として策定された。

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