日本初の「世界洋上風力サミット-ジャパン2021」を開催
― 2050年カーボンニュートラルと再エネ主力電源化時代へのロードマップ ―日本初の「世界洋上風力サミット-ジャパン2021」を開催
〔1〕サミットを事業進捗の定点観測の場へ
辻 JWPAは、2021年10月、日本で初めて福岡県北九州市で「世界洋上風力サミット-ジャパン2021」を開催しました(写真)注5。このイベントについてお聞かせください。
加藤 今、日本では、官民で洋上風力発電の取り組みが急速に進展しています。そうした状況を踏まえて、各部門のマネージャークラスの幹部が集まって、商談情報を交換したり真剣に課題を論議したりする場を作りたい、というのが目的です。
そのため、各種の政策やサプライチェーンなど、官民協議会傘下のさまざまな分科会で議論されている最新情報や課題などを、共有できるプログラムを作ろうとしています。そして、毎年定期的に開催することで、1年間での進捗状況や課題を確認し合って次につなげる、いわば定点観測的な場にしたいと考えています。
写真 「世界洋上風力サミット-ジャパン2021」開催の様子
出所 日本風力発電協会提供
今回はその初回として、洋上風力発電の進捗状況や反省点、次の課題などを幅広い関係者の間で共有し合うことができ、意義深いイベントになりました。
辻 具体的には、どのようなことが話し合われたのでしょうか。
加藤 今回のイベントでは、経済産業省から前出の「再エネ海域利用法」に基づいて、洋上風力発電の促進区域の発表がありました。
具体的には、図3に示すように、長崎県五島市沖や秋田県由利本荘市沖などのほか、新たに秋田県八峰町および能代市沖など多数の促進区域・候補海域が発表されました。
〔2〕公平性を確保するため、入札にセントラル方式を導入
辻 洋上風力発電の事業者選定の仕組みに関しても、大きな進展があったと聞いていますが。
加藤 公募にあたって事業者から、十分な情報提供をしてほしいという要望がありました。例えば、海底地盤の状況によっては、設備の建設コストや期間が大幅に変わり、それは事業開発の大きなリスクとなります。
しかも、それを事業者側が独自に調査しようとすると費用も時間もかかり非効率です。一方で、そういったデータをすでにもっている事業者もあり、公募にあたって不公平が生じる場合もあります。
こうした声に呼応するかのように、国から「セントラル方式」の導入が提案されました。セントラル方式とは、
- 開発の初期段階の調査や系統確保などを国や自治体が実施し、
- 複数の事業者による入札によって、買取価格を競り合うことにより再エネのコストを低減する仕組み
で、欧州ではすでに実績があります。今回はその日本版として、洋上風力発電の事業者を国が公募するにあたり、短期間で精度の高い見積りができるよう、国が地盤調査や風況を調べ、公募時のデータとして提供することを目指しています。
まず実証段階として、北海道、山形県、岩手県沖の3海域3カ所で行われ、将来的には、すべての公募がセントラル方式で行われる、と発表されました。
辻 なるほど、関係者間の問題認識が共通化されて、そこで議論され、次のアクションにつながっていく場になっているわけですね。イベントは来年も開催されるのでしょうか。
加藤 来年(2022年)も10月頃に開催します。先ほどのOCCTOのマスタープランが2022年度中に発表されますが、来年はそれについても話し合う場となるはずです。
▼ 注5
世界洋上風力サミット-ジャパン2021(Global Offshore Wind Summit - Japan 2021)、開催日:令和3(2021)年10月7〜8日。場所:北九州国際会議場、主催:日本風力発電協会(JWPA)、共催:世界風力会議(GWEC)/北九州市。延べ参加人数:約900名。
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