インフレ抑制法の内訳

― 約50兆1,840億円を「エネルギー安全保障および気候変動」分野に投資 ―

インフレ抑制法の内訳

表1 インフレ抑制法の内訳[単位:十億ドル]

表1 インフレ抑制法の内訳[単位:十億ドル]

出所 “Summary: The Inflation Reduction Act of 2022”をもとに筆者作成

〔1〕「エネルギー安全保障および気候変動」に約50兆1,840億円を投資

 インフレ抑制法における収入額や投資額の内訳は、表1のような内容である。

 表1を見ると、同法律によって投資が決まった金額総投資額の合計は、4,370億ドル(約59兆4,320億円)となっているが、本記事の冒頭でも述べたとおり、このうち3,690億ドル(約50兆1,840億円)が「エネルギー安全保障および気候変動」(Energy security and Climate Change)という項目に割り当てられている。

〔2〕エネルギー安全保障および気候変動で定められた分野

 「エネルギー安全保障および気候変動」の具体的な内容としては、大きく次の5分野が定められている注6

  1. 消費者向けのエネルギーコスト削減
  2. 米国のエネルギー安全保障と国内生産
  3. 経済の脱炭素化
  4. コミュニティや環境正義への投資
  5. 農家、森林所有者およびレジリエント(回復力のある)な地方コミュニティ

〔3〕各分野の具体的な取り組み

 「エネルギー安全保障および気候変動」の5分野のうち、特に最初の3分野が気候変動対策に直接的な影響を及ぼすものとなっている。

 各分野の代表的な取り組みとしては、表2に示す内容が掲げられている。

表2 インフレ抑制法で定められている主な気候変動対策

表2 インフレ抑制法で定められている主な気候変動対策

※1 国防生産法”Defense Production Act of 1950”とは、1950年の朝鮮戦争への対応策として成立した連邦法で、国防に必要な資材やサービスの供給に関して、大統領に国内産業界を統制できる権限を与えるもの。[参照URL
※2 もととなる資料”Summary of the Energy Security and Climate Change Investments in the Inflation Reduction Act of 2022”中には、単に”reduce emission”(排出削減)とだけ書かれており、何の排出を削減することを意図しているのかは明記されていないため、本表での表記も「排出削減」にとどめている。
出所 “Summary of the Energy Security and Climate Change Investments in the Inflation Reduction Act of 2022”をもとに筆者作成


▼ 注6
https://www.democrats.senate.gov/imo/media/doc/summary_of_the_energy_security_and_climate_change_investments_in_the_inflation_reduction_act_of_2022.pdf

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