NTN、バーチャルPPAをコスモエコパワーと締結

CO2排出量を年間4,200トン削減へ

インプレスSmartGridニューズレター編集部

5月14日 0:00

NTNがバーチャルPPAの契約をコスモエコパワーと締結

 NTN株式会社(以下、NTN)は5月7日、バーチャルPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)をコスモエネルギーホールディングス傘下のコスモエコパワー株式会社(以下、コスモエコパワー)と締結した。同契約に基づき、今後16年間にわたり、コスモエコパワーが運営する風力発電所の中紀ウィンドファームで作り出される年間約1,000万kWhに相当する環境価値を、非化石証書注1の形で受け取る。これにより、年間約4,200トンのCO2排出量削減を見込む。バーチャルPPAはNTNとして初となる。

図1 NTNとコスモエコパワーによるバーチャルPPAのイメージ
出所 コスモエコパワー株式会社 お知らせ 2025年5月12日、「NTNで初となるバーチャルPPAを締結 ~コスモエコパワーの中紀ウィンドファーム(風力発電)を活用~」

FIP制度における運転開始時期の制限が撤廃でPPA締結が可能に

 コーポレートPPAは、需要家が発電事業者から再生可能エネルギーを直接購入する契約形態である。その1種であるバーチャルPPAは、需要家が自らの敷地外に設置された再生可能エネルギー発電所から、物理的な電力ではなく、その発電量に応じた環境価値のみを調達する仕組み。
 従来、FIP(Feed-in Premium)制度
注2おけるPPAは、2022年以降に運転開始した発電所に限定して直接取引が認められていた。しかし、2025年の制度変更によって運転開始時期の制限が撤廃された。これにより、2021年4月に商業運転を開始した中紀ウィンドファームを対象にしたPPAの締結が可能になった。

コスモエコパワーは主要部品供給元と初締結

 中紀ウィンドファームは、和歌山県の有田郡有田川町及び日高郡日高川町にかかる白馬山脈尾根部に位置しており、NTNも事業を展開する関西エリアへ電力を供給している。NTNは、同ファームで稼働する風力発電機に、同社製のベアリング(軸受)と、風力発電機の運転状況をリアルタイムで監視し、故障の予兆検知や部品寿命の予測を通じて予防保全を可能にし、発電効率の最大化と安定稼働につなげるための状態監視システム(CMS:Condition Monitoring System)「Wind Doctor」を提供している。コスモエコパワーにとっては、発電機の主要部品供給元である企業とのPPAの締結は今回が初である。

図2 中紀ウィンドファームの外観
出所 コスモエコパワー株式会社 お知らせ 2025年5月12日、「NTNで初となるバーチャルPPAを締結 ~コスモエコパワーの中紀ウィンドファーム(風力発電)を活用~」


注1:非化石証書:再生可能エネルギーなどで発電された電気の非化石価値を取引可能な証書にしたもの。企業がRE100などの目標達成やCO2排出量削減を報告する際に活用されている。
注2:FIP(Feed-in Premium)制度:再エネ発電事業者が卸市場などで売電した際に、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額:供給促進交付金)を上乗せすることで再エネ導入を促進する制度。

参考サイト

コスモエコパワー株式会社 お知らせ 2025年5月12日、「NTNで初となるバーチャルPPAを締結 ~コスモエコパワーの中紀ウィンドファーム(風力発電)を活用~」

NTN株式会社 ニュース 2025年5月12日、「NTNで初となるバーチャルPPAを締結」

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