CO2から1万戸分のメタン製造、大阪ガスとINPEXが世界最大級の実証

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2026年4月21日 (火曜) 13:00

世界最大級の設備でメタン合成とパイプライン注入の実証

 大阪ガス株式会社(以下、大阪ガス)と株式会社INPEX(以下、INPEX)は、水素と二酸化炭素(CO2)からメタンを合成し、天然ガスパイプラインに注入する実証を進めている。使用するメタネーションシステムは400Nm3-CO2/hの製造能力を持ち、国際的な調査に基づき世界最大級としている。大規模施設での運転データ・知見を蓄積し、メタネーション注1の社会実装に向けた技術開発を進める。大阪ガスが2026年4月20日に発表した。

図1 新潟県長岡市に建設された世界最大級のメタネーション試験設備の外観

出所 PR TIMES 大阪ガス 2026年4月20日、「大規模なCO2-メタネーションシステムを用いた導管注入の実用化技術開発」

メタン濃度96%を達成、大規模化へ向けたデータ蓄積

 今回の実証にあたり、原料供給、メタネーション、ユーティリティー設備などで構成する試験設備を、INPEXの長岡鉱場越路原プラント(新潟県長岡市)内に設置した。実証設備の製造能力は400Nm3-CO2/hで、e-メタンの国際的アライアンスであるe-NG Coalitionによると世界最大級。年間換算では一般家庭約1万戸分のガス消費量に相当する。
 
 実証では、同プラント内で分離・回収したCO2を用いてe-メタン(合成メタン)を製造する。製造された一部を天然ガスパイプラインへ注入する。メタン濃度は、試運転段階で技術開発目標である96%に達しているという。
 
 プロセスの基本性能や、大阪ガスが独自開発した触媒の長期耐久性、商用スケールへの大型化に向けた技術的課題の抽出を継続する計画だ。
 
 今回の実証について、大阪ガスの執行役員 兼 ガス製造・エンジニアリング事業部長である幡中 宣夫 氏は、「最大のミッションは、将来のスケールアップを見据えたエンジニアリングデータの取得と、独自開発した触媒の耐久性・信頼性の実環境下における評価・確認だ。実証を通じて、e-メタンの早期社会実装を進める」と強調する。
 
 INPEXの執行役員 兼 低炭素ソリューション事業本部長である落合 浩志 氏は、「大阪ガスとともに運転データを基にした知見を蓄積し、将来の事業スケールアップに向けて技術開発を進める」と展望を語る。
 
 INPEXはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業の採択を受け、2021年度から大規模メタネーションシステムを活用したe-メタンの製造・導管注入の実用化技術開発を大阪ガス、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学とともに進めてきた。今回の実証運転はその集大成であり、2026年2月に開始した。2026年度末まで継続してデータを取得し、プロジェクトを完了する予定だ。

 e-メタンは、燃焼時にCO2を排出するが、製造段階で同量のCO2を回収・利用するため、カーボンニュートラルな仕組みとして期待されている。最大の利点は、既存の都市ガスインフラをそのまま転用できる点にある。LNG輸送船や受入基地、地中のガス導管、さらには家庭のコンロや給湯器といった資産を継続利用できる。そのため、社会コストを最小限に抑えつつ都市ガスの脱炭素化を推進できる。大阪ガスを擁するDaigasグループでは、2030年度に供給する都市ガスの1%をe-メタンなどへ転換する計画を掲げている。


注1 メタネーション:水素とCO2から都市ガスの主成分であるメタンを合成する技術。

参考サイト

PR TIMES 大阪ガス 2026年4月20日、「大規模なCO2-メタネーションシステムを用いた導管注入の実用化技術開発」

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