長野県は2016年12月7日、建設中の2つの水力発電所の電力を丸紅新電力に売電すると発表した。丸紅新電力は丸紅の電力部門を引き継いだ企業で、丸紅の100%子会社。丸紅新電力は自然エネルギー販売に力を入れているみんな電力を通して、首都圏で電力を小売りする。
新設の水力発電所は「高遠発電所」(伊那市高遠町)と、「奥裾花第2発電所」(長野市鬼無里【きなさ】)。いずれも2013年度に着工したもので、2019年4月1日から売電を始める予定。契約期間は2020年3月31日までの3年間。
高遠発電所は、高遠ダムを活用した発電所。下流の水生生物などの生態系を維持するために常時放出している維持放流水を使う。維持放流水の流量は、最大で1秒当たり0.96m3。最大出力は180kWで、年間発電量は約124万9000kWh。一般家庭の年間消費電力量にすると約350世帯分になる。
図 高遠発電所の完成予想図。左側にある水圧鉄管に維持放流水が流れる
出所 長野県企業局
奥裾花第2発電所は、既存の奥裾花発電所では活用しきれずに放流していた水を利用する発電所。利用する水量は最大で1秒当たり2.536m3。最大出力は980kWで、年間発電量は約506万7000kWh。一般家庭の年間消費電力量にすると約1400世帯分になる。
図 奥裾花第2発電所の完成予想図。奥裾花発電所に隣接している
出所 長野県企業局
長野県は高遠発電所の電力を1kWh当たり34.5円、奥裾花第2発電所の電力を1kWh当たり29.5円で売電する。いずれも、国が再生可能エネルギーの固定価格買取制度で定めた価格に0.5円を上乗せした価格だという。ちなみに長野県は固定価格買取制度の対象期間である20年間で、高遠発電所で3億2000万円、奥裾花第2発電所で13億4000万円の純利益が上がると見込んでいる。
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長野県企業局