ベルギーの酒造大手Anheuser-Busch InBevは2018年1月24日(中央ヨーロッパ時間)、子会社のAnheuser-Buschが主力商品のビール「Budweiser」を再生可能エネルギー由来の電力で製造を開始すると発表した。まずはアメリカの醸造所で100%再生可能エネルギー由来の電力のみでの生産を開始し、全世界の生産拠点でも再生可能エネルギー由来の電力に移行していく。100%再生可能エネルギー由来の電力で製造したBudweiserには、それをアピールするロゴマークを付ける。
図 100%再生可能エネルギー由来の電力で製造したBudweiserに付くロゴマーク
出所 Anheuser-Busch InBev
Anheuser-Buschは2017年9月にイタリアの再生可能エネルギー事業者であるEnel Green Powerから風力発電所で発電した電力を購入する契約を交わしている。具体的にはオクラホマ州にある「Thunder Ranch Wind Farm(合計出力は298MW=29万8000kW)」から、152.5MW(15万2500kW)分、発電量にして年間およそ610GWh(6億1000万kWh)を購入する。この電力量は、Anheuser-Buschが全社で年間に消費する電力の50%に相当する。Thunder Ranch Wind Farmは2017年末に運転を開始している。
Thunder Ranch Wind Farmの電力を使ったビールの製造は2018年春に開始の予定。Anheuser-Buschは2025年までに、全世界の拠点でBudweiser製造に使用する電力を100%再生可能エネルギー由来のものにする目標を掲げている。そして親会社であるAnheuser-Busch InBevは2017年3月に、同社が購入する電力を2025年までにすべて再生可能エネルギー由来のものにする目標を発表している。
図 100%再生可能エネルギー由来の電力で製造したBudweiser。左側の缶の下端にロゴマークがついている
出所 Anheuser-Busch InBev
Anheuser-Buschによると、Budweiserは全世界で1日に4100万本売れている。そのすべてを再生可能エネルギー由来の電力で製造すると、世界中を走る乗用車を年間4万8000台排除することと同等の効果を得られるという。Anheuser-Busch InBevのBudweiser担当副社長であるBrian Perkins氏は「世界中の人々が、気候変動は深刻な事態であると理解しているが、その進行を防ぐために日々の生活で何か貢献できることはないかと考えている。今回発表したロゴマークは、この商品を買うことで地球環境保護に貢献できるとはっきり示すものだ」と狙いを語っている。