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スウェーデンSCANIAが同国の蓄電池ベンチャーと提携、大型車両向け蓄電池を共同開発へ

2018/01/26
(金)
SmartGridニューズレター編集部

スウェーデンのトラック・バス大手のSCANIAとNorthvoltは、トラックやバスなどの大型商用車両に向けた蓄電池を共同開発することで合意したと発表した。

スウェーデンのトラック・バス大手のSCANIAと同国の蓄電池ベンチャーNorthvoltは2018年1月25日(中央ヨーロッパ時間)、トラックやバスなどの大型商用車両に向けた蓄電池を共同開発することで合意したと発表した。SCANIAは研究開発費と、試作ライン建設費用として1000万ユーロ(13億5000万円:1ユーロ=135円で換算)を投資する。

図 Northvoltのリチウムイオン蓄電池セル

図 Northvoltのリチウムイオン蓄電池セル

出所 Northvolt

NorthvoltはTeslaで副社長を務めたPeter Carlsson氏(CEO)と、同じくTesla副社長の経験があるPaolo Cerruti氏(COO)が中心になって2016年に創業したベンチャー企業。すでに、スウェーデンのエネルギー大手であるVattenfallなどから出資を受けている。

SCANIAは大型商用車両向け蓄電池セルとして、耐久性が高く、安価なものを求めているという。SCANIAとNorthvoltは専門家チームを組成し、両社から人材を派遣するとしている。専門家チームはNorthvoltの研究開発施設を拠点に共同開発に取り組む。

Northvoltは台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)などの半導体製造業者のような事業を展開している。つまり、顧客が持ち込んだ仕様に従って蓄電池を製造する事業だ。顧客が仕様をはっきり明記できない場合は、顧客が求めるものを聞き取って、最適なものを提供するとしている。

そして同社はこの事業を拡大するために、スウェーデン北部のシェレフテオ市(Skellefteå)に大規模な蓄電池製造工場の建設を計画している。スウェーデン北部は清潔な水と、安価な再生可能エネルギー由来の電力を利用でき、蓄電池製造に必要な希少金属を産出する鉱山が近隣にあることから、蓄電池製造に適していると考え、新工場建設の計画を立てたという。

工場は2018年後半に着工し、2020年には予定の1/4が完成し稼働を始める予定。その時点では年間の蓄電池生産量はおよそ8GWh(800万kWh)となる予定。すべてが完成するのは2023年の予定で、その頃には生産能力は年間32GWh(3200万kWh)に達し、ヨーロッパ最大の蓄電池工場になるという。


■リンク
Scania
Northvolt

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