アメリカUnited Parcel Service(UPS)は2018年5月9日(イギリス時間)、配達用の小型電気自動車(EV)を公開した。この車両はイギリスのベンチャー企業ARRIVALと共同で開発したもので、2018年末までにロンドンとパリに合計で35台配置し、試用を始める予定だ。
図 UPSが公開した配達用小型EV
出所 United Parcel Service
このEVは1回の充電でおよそ150マイル(約240km)連続で走行でき、UPSは「現在配達に使われているほかのEVに比べてかなり長い距離を走れる」としている。また、ADAS(Advanced Driver Assistance systems:先進運転支援システム)を搭載しており、運行時の安全を改善し、運転手の負担を軽減するという。
ARRIVALは2015年設立のEV専門ベンチャーで、UPSとは2016年から協業を開始している。それ以来、さまざまな大きさの試作車を作成したという。こうして、ARRIVALはUPSの要求に合うEVを供給するヨーロッパ初の企業となった。
UPSはEVだけでなく、代替燃料を使用する配送車両を積極的に導入している。2017年5月には、カリフォルニア州サクラメントに配送用燃料電池車を投入することを発表し(参考記事)、2017年11月にはニューヨークにディーゼルエンジン車を改造した電気自動車を配達用に配置すると発表している(参考記事)。
UPSはそれまでにも、圧縮天然ガス、液化天然ガス、そしてバイオマス燃料であるメタン、エタノール、プロパンガスなどの代替燃料を利用し、車両から発生するCO2の量を削減してきた。2017年7月には、2020年までに配送車の25%を代替燃料車、あるいはPHV/EVに転換するという目標を立てている。加えて、企業活動で発生するCO2の量を2025年までに2015年比で12%削減するとしている(参考記事)。