三菱日立パワーシステムズは2018年3月14日、福島県いわき市で石炭ガス化複合発電(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle)設備の建設を始めたと発表した。この工事は2016年10月に三菱重工業など5社が共同で設立した「勿来IGCCパワー合同会社」(参考記事)が発注したもの。5社は同じく2016年10月に、福島県双葉郡広野町に同様の設備を建設し運用する目的で「広野IGCCパワー合同会社」も設立している。
図 勿来IGCCパワーが建設する発電所の完成予想図
出所 常磐共同火力
IGCC設備では、石炭の微粉末を加熱して可燃性のガスを取り出して燃料として使う。今回建設するのは石炭の微粉末を加熱する「石炭ガス化炉」だ。運転時にはこのガスから硫黄化合物など大気を汚染する物質を除去してガスタービンで燃焼させる。加えて、ガスタービンが排出する高温の排ガスで蒸気を作って蒸気タービンを回す。2つのタービンを回すコンバインドサイクルとなる。
IGCC設備は石炭を直接燃焼させないため、一般的な石炭火力発電設備に比べてCO2排出量が少なく、発電効率が高い。さらに石炭火力発電設備では利用できない、石炭灰の溶融点が低い低品質炭も利用できるため、燃料コストを削減できるという特徴もある。三菱日立パワーシステムズはIGCCを世界最先鋭の石炭火力発電技術としている。
建設地は常磐共同火力が保有する勿来発電所の隣接地。発電設備の出力はおよそ540MW(54万kW)で、2020年9月に運転開始の予定。ちなみに広野IGCCパワー合同会社は、東京電力フュエル&パワーが保有する広野火力発電所の敷地内に発電設備を建設する予定。出力は540MWで、2021年9月に運転開始の予定だ。
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三菱日立パワーシステムズ