特別レポート

IoT推進コンソーシアムの活動と意義

IoT推進コンソーシアムの活動と意義

 今回、IoT推進コンソーシアムの会長に就任した村井純・慶應義塾大学教授は、「IoTという言葉は、その起源としてRFIDまで含めると大変広い領域を含んでいるが、現在、世界中のどの会議体でも、政策やビジネスの議論の中で、IoTに対する期待が大きくなってきている」と述べ、その活動と意義について3つの視点から意義をアピールした。

〔1〕生成されるデータは文字ばかりではない

 インターネットを前提とした社会では、いろいろなセンサーやデバイス(機器)から送信されるデータを、どのようにも共用したり、利用したりすることが可能である。現在では、そのような基盤が整ったうえでIoT時代が到来してきた。

 デジタル化された情報通信が本格的に動き出し30年を経たが、これまでは電子メールなどの文字を対象にした大規模なデータを中心に扱ってきた。しかし、今後大量に発生するセンサーやデバイスから生まれてくるデータは、文字データとは限らない。このようなIoT環境で、新しいゲーム(ビジネス)が始まろうとしていることが、IoTの大きな意義の1つである。

〔2〕手に届く大量のデジタルデータ

 もともとインターネットは、コンピュータ同士をつなぐことから始まったが、IoT時代には、コンピュータだけでなくセンサーからいろいろなデバイス(機器)がつながり、さらに人までもつなぐようになってきた。

 私たちの生活空間にあり、そこで作業している現場からは大量のデータ(ビッグデータ)が生まれ、その知見やそのデータを利用した結果がどの分野でも利用できるようになってきた。

 このことは、「まったく新しい人類の力」となってくるという期待感がある。すなわち、大量のデジタルデータが、誰もが手の届くところにあり、誰もが使える時代を迎えている。

〔3〕日本への期待:セキュリティと信頼性

 世界中どこへ行っても、真のIoTは日本から生まれてくるだろうという期待が高い。その理由は、IoTを構成するデバイス(機器)の信頼性、あるいは提供されるサービスの信頼性、そしてそれらの品質(クオリティ)に対しての大きな信頼感があるからだ。このためIoTの時代は、日本の技術力に期待されている声が大きい。

世界全体への貢献を目指して

 IoTは、垂直統合型の技術を水平分散型にする技術である。言い換えると、各業界がそれぞれの領域でつくりあげてきた縦(タテ)のシステムを、横(ヨコ)につないでムダを少なくする(共通化する)技術である。

 そのためには、「技術標準を策定することが重要であるが、それだけではなく、IoT推進コンソーシアムで作成された成果を世界に広めて貢献していくためには、技術面からも、ビジネス面からも、行政のメッセージ面からも、外交面からも、積極的に貢献していくことが重要である」と、村井会長は締めくくった。

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