「エネルギー政策基本法」(2002年6月に制定。以下「基本法」)は、エネルギー需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るために「エネルギー基本計画」(以下「計画」)の策定を定めた。「計画」では、少なくとも3年に一度の頻度で内容の検討を行い、必要に応じて変更することを求めている。
これに基づき、最初の第1次計画が2003年10月、その後、第2次計画(2007年3月)、第3次計画(2010年6月)、第4次計画(2014年4月)と策定されてきた。
表 第5次エネルギー基本計画(案)の目次構成
こうした経過を踏まえ、「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会(第27回会合:2018年5月16日)」は、表に示すような2050年に向けた「第5次エネルギー基本計画(案)」を発表した。同案は、SDGs注1やパリ協定(COP21)を背景に、地球温暖化防止に向けて、世界の流れが急速に脱炭素化に向かっていることもあり、注目されるものとなった。今回注目のポイントは、次の2点である。
- 再生可能エネルギー(再エネ)の主力電源化に向けた取り組み。再エネが日本のエネルギー供給の一翼を担う長期安定的な主力電源となるよう、引き続き積極的に推進していく。
- 東京電力福島第一原子発所事故を経験した日本は、安全を最優先し、経済的に自立し脱炭素化した再エネの拡大を図る中で、可能な限り原子力発電への依存度を低減する。
しかし、一方で、「あらゆる選択肢の可能性を追求する野心的な複線シナリオ採用」とし、エネルギーについて再エネも原発も含めた全方位的な内容であるため、今後日本は「脱原発」になるのか、ならないのか、見通しの悪い計画となっている。
注1 SDGs:Sustainable Development Goals、エス・デー・ジーズ。持続可能な開発目標(国連で2015年に策定された気候変動対策等を含む17の開発目標)。