社会課題に取り組むためのSDGs
このように気候変動による影響は、ますます無視できないものになってきているが、気候変動をはじめとするさまざまな社会課題に対応するための国際的な枠組みとして定められたのがSDGsである。
このSDGsは2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発注7のための2030アジェンダ」(行動計画)で定められた2030年までの国際目標である。気候変動をはじめとして、貧困や不平等を是正することを目指し、表1に示す17の目標が定められている。また、図1に、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の表紙と「SDGsポスター」を示す。
図1 「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の表紙(左)と「SDGsポスター」 (右:上部がSDGsロゴ、下部が17の目標とそのアイコン、右下がSDGsカラーホイール)
日本では、国としてSDGsに関連する取り組みを推進するために、2016年5月に「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」が設置され、同年12月には「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」注8を定めている。2018年以降は同本部が定期的に「SDGsアクションプラン」を定め、日本としてのSDGsの取り組みの方向性を示している。
SDGsの達成を後押しする技術イノベーション
2015年に定められたSDGsの取り組み状況を確認・評価するレポートとして、SDG Index and Dashboards(SDGインデックス&ダッシュボード)がある注9(図2)。このレポートはドイツ最大の財団であるベルテルスマン財団(Bertelsmann Stiftung)とSDSN(Sustainable Development Solutions Network、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)注10によって2016年から発表されている。
図2 「SDG Index and Dashboards Report 2019年版」のSDG達成状況の評価例
出所 https://sustainablejapan.jp/2019/07/06/sdg-index-dashboards-2019/40618
2019年版のレポートでは、SDGsの達成に向けては企業の取り組みが欠かせないことが取り上げられている。特に企業によるエネルギー分野や建設分野、食糧分野、モビリティ分野などにおけるイノベーションがSDGsの達成には欠かせないことを強調している。
▼ 注7
持続可能な開発:地球環境や自然環境が適切に保全され、将来の世代の欲求(ニーズ)を満たしつつ、現在の世代の欲求(ニーズ)も満足させるような開発が行われる社会という意味。国連に設置された「環境と開発に関する世界委員会」が1987年に報告した「我ら共有の未来(Our Common Future)」において、「持続可能な開発」という、人類が安全に繁栄する未来への道を示した概念。
▼ 注8
「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」参照
▼ 注9
https://sustainablejapan.jp/2019/07/06/sdg-index-dashboards-2019/40618